いばら美喜「負け犬」(220円)
「T市にやって来た金波サーカス団。
紅達矢は、天狗が出ると言われる妙法山に登ってみる。
頂上に着き、五時まで待ってみるが、何も出ない。
その代わりに、婦人用のハンカチを拾い、右足をギブスで固めた娘を目にする。
彼女は双眼鏡で下を窺っていた。
紅達矢が下を覗くと、片腕の男が、黒装束の集団から、1500万円もの大金を受け取っていた。
片腕の男は娘の兄で、黒装束の集団相手に強請をしているらしい。
山を下りた達矢は由美から、現金輸送車が襲われて、三千万円が奪われたニュースを聞かされる。
それから五日後、競艇場の集金所が襲われ、四千八百万円が奪われる。
今回も皆殺しで、殺害の手口は現金輸送車の時と一緒であった。
思う所があり、達矢は再び妙法山に登る。
予想通り、山頂付近に娘がおり、その下では、彼女の兄が黒装束の集団と取引していた。
達矢は兄に自首するよう勧めるが、黒装束の集団に命を狙われることとなる。
黒装束の男達の正体とは…?」
いばら美喜先生らしい快作です。
マドロス風の主人公が不死身の怪集団と戦う、怪奇風味のアクションもので、豪快な残酷描写は今見ても新鮮。
あと、由美の「ポロリ」や、娘の逆吊りといった、ちょっとしたお色気シーンがあるのも嬉しいところです。
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じの穴あり。小口研磨。冒頭の扉絵のページ、下部に裂けあり。冒頭の扉絵と最終ページの下にスタンプあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と貸本店のスタンプあり。
2021年12月9・10日 ページ作成・執筆