いばら美喜「のたれ死に」(170円)
「ある港に立ち寄った紅達矢は、三里会会長の娘に、ある依頼を受ける。
依頼とは、明日一日、父親が、ゴルフ場用地の下見に出かけている間、ボディガードをして欲しいというものであった。
三里会会長は、敵対する江利組との賭けに勝ち、地元の環境を良くしようと考えていたが、そのために、江利組に命を狙われていたのである。
翌日、一行がゴルフ場の用地に出かけると、敷地の真ん中に「三里会会長の墓」と書かれた棒が立っていた。
会長がその前に立つと、地面から、狼の首が現れると、飛びかかって、会長の喉元を喰いちぎってしまう。
達也は、この港の近くにあるF島に狼が多いという話を聞いていて、F島へと向かう。
F島には、里見八郎という科学者が研究室を構えており、狼について研究していた。
彼の研究とは…?
そして、会長の娘は、江利組への復讐を決意するのだが…」
イヌダハジメ氏(aka キクタヒロシ氏)が「ミステリーマガジンリサーチ」にて〈アゼン度〉を満点超えとした、「ミステリーマガジン・シリーズ」トップクラスの怪作です。
「犬神」(犬を首だけ出して、地中に埋め、その前に食べ物を置き、餓死寸前に切り落とす…という呪物)を殺人に応用しようというのですから、自由奔放と言うか、ぶっちゃけ、正気の沙汰ではないというか、まあ、そういう作品です。
でも、こういう作品を読むと、「面白い」ってことは「理屈」ではないんだと、つくづく考えさせられます。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。糸綴じあり。後ろの遊び紙に赤ペンによる汚れ、貸本店のスタンプあり。
2020年6月30日 ページ作成・執筆