旭丘光志「屍」(150円/1960年10月28日頃完成)
「神崎健二は、十年ぶりにカナダから、故郷の門司へと帰って来る。
だが、兄は、黒岩炭鉱の落盤で、顔にひどい傷を負っていた。
しかも、父親は行方不明で、姉は新婚旅行中だという。
父親について詳しく話を聞くと、黒岩炭鉱の事故で会社と賠償金について交渉している最中に姿を消していた。
その夜、健二は、父親の夢を見る。
それは、父親は額から血を流し、「お前を待っているよ」と五号廃坑の中へと入っていくというものであった。
翌日、健二は、警察で、父親が最後に五号廃坑付近で目撃されたと聞き、五号廃坑へと向かう。
そこは夢で見たのと全く同じ場所で、その奥で、父親の射殺死体を発見する。
その時、健二は、黒覆面の男に銃撃されるが、どうにか、これを撃退し、廃坑から脱出。
家に父親の死体を持ち帰り、健二は、父親の復讐を誓う。
その際、父親の遺品の眼鏡をかけると、父親の死に絡んだ人物が、父親の姿に見えることに気付く。
その眼鏡を使い、健二は父親の死に関係した人物を探し出していくのだが、彼の周囲では奇妙な事件が次々と起こる。
旅行先での姉の死…
兄と同居していた角田の失踪…
そして、包帯で顔をグルグル巻きにした、黒岩炭鉱の会社社長…
奇怪な事件の裏に隠された真相とは…?」
炭鉱の事故を扱っており、時代を感じさせます。(門司が舞台というのも珍しいかも)
怪奇色の強いミステリーで、それなりに面白いのですが、謎解きが、ぶっちゃけ、ムチャクチャなのが残念…。
でも、ラスト付近で、拳銃による派手な人体破壊描写があり、それだけで私は大満足です。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け、また、それによるヨレや痛み。背表紙、痛みが激しく、下部が欠損。pp9・10、下部にコマにかかる欠損。p11、p13、p31、p49、p81、紙テープによる補修。前後の見開きのノドに紙テープでの補強。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2020年3月28日 ページ作成・執筆