池川伸治「白虫」(230円)
「スリラー作家の昌子は、自殺を図ろうとする青年と出会う。
彼はあまりに高潔に過ぎ、この汚れきった世の中に自分の居場所を見出すことができなかった。
彼は昌子の仕事を非難し、社会に害毒を流しながら、自己正当化に汲々とする彼女を卑怯だと主張する。
その言葉に衝撃を受け、以来、彼女の心は晴れない。
ある日、手紙で呼び出され、昌子が公園に向かうと、そこに待っていたのは、例の青年ではなく、顔の焼けただれた男であった。
ボーイフレンドの信一(池川伸治先生自身がモデル?)の助言もあり、彼女はこの経験をスリラーに活かそうとする。
数日後、再び昌子は公園に呼び出されるが、この時は、例の青年が待っていた。
彼は昌子の仕事を手伝うために、毎朝、会ってくれるよう頼む。
彼の頼みを聞いた彼女は、彼と会う度に感化され、心が清澄さで満たされていく。
だが、仕事の面で、彼女はスランプに陥るようになる。
青年の「死ぬ前にやる(べき)事」とは…?
そして、二人を遠くから見つめる、包帯男の正体は…?」
異色作です。
ストーリーそっちのけで、幾分、強引な「スリラー」論が展開され、ぶっちゃけ、わかりにくい内容です。
そのため、結局は、説得力を欠いちゃっている、とまあ、池川伸治先生にはよくあるパターンです。
んにしても、タイトルの「白虫」って一体何なんだろう…?(作中に言及は全くありません。)
個人的には、ストーリー云々よりも、スリラー作家のヒロインの部屋の装飾の方が遥かに興味深かったです。
いくら怖いものを書くためとは言え、流石にこのセンスは…。
・備考
カバー欠。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕とボールペンでの書き込みあり。
2018年4月15日 ページ作成・執筆