月宮よしと「怪談地獄沼」(150円)
「浪江は、日暮峠の茶屋で、病身の母親と二人暮らし。
彼女には青木竜太郎という許嫁がいたが、彼は非力な浪人の身。
ある日、彼女は、村瀬左門という侍に見初められ、結婚を申し込まれる。
彼は、上田城の殿が二十五年前に側女に産ませた若君であった。
一度は断るものの、左門が忘れた財布を届けようとして、追いはぎに奪われてしまい、浪江は彼のもとに嫁ぐことを決意。
だが、左門は、病気の母親に平気で暴力を振るうロクデナシであり、しかも、若様というのも大嘘であった。
実は、彼は元・野盗であり、盗品の中に、殿様の御落胤の証である雲切丸があったことから、天一坊を決め込もうとしたのである。
ある夜、左門の家に、左門が捨てた女房のお玉が殴り込みをかける。
彼女は、腫物が悪化して、右目のあたりにアザができており、そのために、今回の計画の邪魔になると、左門に捨てられた。
嫉妬に狂ったお玉は、計画を全て御上にばらすと左門を脅迫するも、逆に、捕まり、倉に監禁される。
浪江は彼女を逃がそうとするが、お玉は浪江に襲いかかり、首を絞め上げる。
浪江が意識を取り戻した時、そばには、脇腹を包丁で刺された、お玉の死体があった。
左門はお玉の死体を簀巻きにして、川に遺棄させる。
そして、浪江に、このことを口外せぬよう説いている時、浪江の顔がお玉に化ける。
浪江にお玉の怨霊が憑りついたと考え、左門は浪江を生き埋めにすることを決意。
止めようとする彼女の母親も斬殺し、浪江と一緒に埋葬する。
これで一安心かと思ったところ、生き埋めにしたはずの浪江が生きていた。
左門は、お玉や浪江に祟られる前に、登城しようとしるのだが…」
「天一坊事件」に着想を得た作品のようです。
それはともかく、目付の全く定まらないヒロインが、どこか花輪和一先生のようで印象的。(個人の感想です。)
また、この作品で興味深かったところは、女牢の描写。
女牢でも、牢名主っていたんでしょうか?
・備考
読み癖が激しく、ボロボロ。カバーの痛み、激し、また、後ろの袖、切り取り。シミ、裂け、汚れ、たくさん。前後の見開きの絵、剥がし。
2019年10月10日 ページ作成・執筆