西たけろう「奇蹟よぶ青猫」(220円)
「昭和36年秋の東京都下、M市。
画家志望の青年、河伊竜一は、ある雨の日、雨宿りに駆け込んだガード下で、島田和子と運命的な出会いをする。
和子は、竜一が絵描きであることを知ると、「あの人も絵を描くのが大好きでした」、そして、「こんな雨の日に私の所へ帰ってきたのです」と話し出す。
そこへ青猫がガード下に彼女を迎えに来て、和子と青猫は雨の中、立ち去っていったのだった。
それから、雨の日のガード下で、二人は度々会うようになる。
ある日、展覧会に出品する絵を竜一が描いている公園で、和子と偶然に出会う。
どこか様子のおかしかった和子であったが、このことがきっかけで二人の仲は急接近する。
竜一は和子を深く愛するが、彼女にはある病気があった。
和子の病気の原因となった、過去の暗い出来事とは…?
そして、愛が奇蹟を起こす…。」
スリラーものかと思いきや、「ラブ・ストリィー」(注1)なのであります。
目次の下にはポエムが載っておりますし、p78には(ちょっと気恥ずかしい)「キス・シーン」まであります。
ですが、観念的なところの多い作品ですので、年少者には内容を理解しにくかったのではないでしょうか。
そして、少し年のいった読者には刺激が足りない…そんな、ちと影の薄い作品であるように思います。
・注1
巻末にある、「鏡子の恋人」の次回予告より引用。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバーの背表紙下に痛み。前の遊び紙に貸出票貼り付け。p1、上部にピンク色の小さい紙らしきものがくっついている。読み癖あり。全体的に目立つシミや汚れ、多し。水濡れの痕のある個所あり。巻末の遊び紙に店の張り紙と値段シール貼り付け。p62、p74、コマの外上部に「ここから」という鉛筆による書き込みあり。
平成27年10月14日 ページ作成・執筆