三田京子「怪談千代紙人形」(230円)
「設計技師、丘野竹男は都会の喧騒に疲れると、田舎を旅してリフレッシュしていた。
ある時、旅先の村で急な雨に降られ、駆けこんだお堂で、竹男は美しい姉妹と出会う。
姉はおとなしやかな和服美人、対照的に、妹ははねっかえりの明るい娘。
その際、妹から、姉がつくったという千代紙人形を手渡される。
竹男はその姉妹に強い印象を受けるが、数日後、その姉が見知らぬ男性と歩いている現場を目にする。
その場に居合わせた妹の珠美によると、その男は婚約者であり、親から強いられた結婚なのであった。
竹男は旅行の残りの期間を珠美と楽しく過ごす。
だが、村を離れる日、花嫁衣裳に身を包んだ姉の姿を見て、胸に強い痛みを覚える。
都会に戻って半年後、珠美からの手紙で村を訪れた竹男は、女らしく成長した珠美と再会、遂には結婚の運びとなる。
だが、珠美は甲斐甲斐しく尽くしてくれるものの、都会での結婚生活は竹男にとって心休まる日々ではなかった。
二年後、姉の結婚相手の訃報が届き、竹男と珠美は姉の嫁ぎ先に赴く。
そこで、姉妹間の因縁の真相が明るみに出され、竹男は姉の本当の気持ちを知る。
しかし、それが新たな悲劇をもたらすことになるのであった…」
タイトルに「怪談」と銘打ってありますが、怪奇色は非常に薄いです。
内容は、姉妹間のドロドロした嫉妬をふりかけた「悲恋もの」です。
私の印象としては、同じ東京漫画出版社で活躍した、みきそのこ先生が描いてそうな内容です。
まあ、個人的には、内容よりも、表紙絵や珠美のエプロン姿の描写(pp63〜69)がやけに肉感的なのが気になります。
後年、三田京子先生は成年向けのマンガにシフトしていきますが、もとからそういうジャンルに向いていたのでありましょうか?
・備考
ビニールカバー貼り付け、また、それによる表紙の歪み。本文、目立つシミ多し。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2017年1月17日 ページ作成・執筆