望月みさお「呪いの幽霊館」(240円/1969年3月20日初版発行)
収録作品
・「呪いの幽霊館」
「静岡県富士市で本当にあった話。
ある家族が、郊外のモダンな邸宅に引っ越してくる。
その家は三百万円という破格の値段であった。
娘の美智は、喘息持ちで、田舎で暮らせることを喜ぶ。
また、引っ越し当日に、牛乳配達で働く娘、真理とも仲良くなる。
その家に移った夜、家族は奇怪な体験をする。
誰もいないのに、カーテンの裏に人がいる気配があり、更に、黒い雲のようなものが襲いかかってくるのであった。
実際、この家は幽霊屋敷と噂されており、住人は二三日で出て行ってしまう。
それでも、田舎での生活に憧れていた美智は東京に戻りたくなく、この家にとどまりたい。
次の夜、父親が出張でいないので、美智は真理を家に泊まりに来るよう誘うのだが…」
・「姿なき幽霊」
「静岡県富士市神谷で、1968年8月〜10月にかけて本当に起こった話。
ある日、洋子は天拓寺で夜遅くまで勉強する。
帰る時、墓地のそばを通ると、ある墓石の辺りが明るく、その前に、女の幽霊が立っていた。
更に、その夜、洋子は、女の幽霊の夢を見る。
洋子の話を聞いて、渡辺ちか子と友人達は墓地に忍び込んで、幽霊が現れるかどうか確かめようとする。
幽霊は現れるが、そこは渡辺家の墓で、幽霊は、ちか子の姉、英代であった。
一方、幽霊のことが噂となり、毎夜、大勢の人が墓地を訪れるようになる。
ちか子と母親は、自分の家族が幽霊になって現れているため、家に引きこもる。
英代の幽霊はちか子達の前に現れるようになるが、成仏できない理由を尋ねても、泣くばかりではっきりしない。
ちか子の母親は何か心当たりがあるようなのだが…」
望月みさお先生の恐らく、最後の単行本です。(以降は漫画家をドロップアウトしたと私は推測しております。)
貸本用に描いていたと思しき作品(どちらも百ページぐらい)が二編収録されており、どちらも「実話怪談」です。
舞台が静岡県なのは、望月先生の出身地が静岡県であるせいでしょうか?
それを考慮に入れると、多少なりとも、信憑性があるような…いや、やっぱり、ないような…。
・備考
カバー貼り付け。カバー痛み、特に、背表紙に針孔が三つあり。糸綴じあり。前の遊び紙に貸出票の剥がし痕と書き込みあり。シミや汚れ、多し。
2021年11月30日 ページ作成・執筆