三田京子「怪談泣くな妹よ」(220円)
「両親と死に別れて、東京で妹、露子と二人暮らしをする青年、葉山清。
ある日、妹が急性肺炎にかかり、医師に診せる為に、会社の社長に給料の前借りをお願いする。
だが、吝嗇な社長夫婦は、首をちらつかせ、彼の提案を断る。
あちこち奔走した挙句、万策尽きた彼は社長宅に金を盗みに忍び込む。
だが、現場を社長に目撃され、もみ合ううちに、彼は社長夫婦を手持ち金庫で殴殺。
そうして、大金に入れたものの、家に帰ると、田舎の伯父から書留が届いており、露子は医者にかかった後であった。
清は、自分が社長殺しの犯人であることがすぐ明らかになると考え、翌朝、妹と共に故郷の島根に向かう一番電車に乗る。
彼は、捕まる前に、故郷の父母の墓に参り、伯父に妹を引き取ってもらうつもりであった。
しかし、事件と彼の写真はすでに新聞に載っており、兄妹は途中下車しなければならなくなる。
二人は島根の布部目指して、山中を行くが、清を追って警察の山狩りが行われていた…」
このマンガ、「怪談」と銘打ってはおりますが、「怪談」ではありません。
兄妹愛を絡めた「犯罪もの」であって、「怪奇マンガ」とは言い難いです。(広義の意味で「スリラー」には入るでしょうが…。)
三田京子先生の作品でたまに見かける、非常に「鬱」な内容です。
特に、この作品は、とことん救いようのないラストで、ヘコみます。
巻末のスリラールームの「猫の思い出話」(可愛い猫のイラスト付き)をもってしても、ちっとも心が和まない程、暗い気持ちになれます。(読者コーナーなのに、読者の投稿やイラストの紹介はなし。)
・備考
カバー痛み、背表紙がボロボロで欠損やテープ補修あり。袖をテープ留めにしており、遊び紙にテープ痕あり。後ろの遊び紙に貸本店のスタンプ押印。
2018年1月9日 ページ作成・執筆