江波考一「誘拐犯人の顔」(220円)
「都内で少女の誘拐され、多額の金が奪われた挙句、少女が毒殺された事件。
犯人とされたのはテレビタレントの瀬川浩二で、証拠がなく釈放はされたものの、タレントとしての道は絶たれてしまう。
一年後、風来坊となった彼は、恋人の百合子を捨て、明子に乗り換える。
明子は金持ちのお嬢様で、父親は貿易会社の社長であった。
ある夜、浩二と明子は彼の家に行く。
彼は彼女に結婚を申し込むが、父親は結婚を認めてくれそうになく、駆け落ちを提案する。
そして、その費用を捻出するために、彼は誘拐をでっちあげ、一千万円を手に入れようと計画する。
翌朝、明子は心変わりをするが、そこに百合子がやって来て、三人で海の眺めの良い断崖に出かける。
すると、急に百合子が明子に絡み出し、百合子を邪魔に感じていた浩二は彼女を崖から突き落とす。
明子は浩二と別れようとするも、彼女が百合子を突き落としたと警察に話すと脅される。
二人で家に帰るが、以来、おかしなことが度々起こる。
百合子は生きているようだが、あの崖から落ちて助かるとも思えない。
明子は家から早く出たいと願い、浩二の狂言誘拐に手を貸すこととなる。
浩二は公衆電話から明子の父親に電話をかけ、娘の身代金を要求。
明子は公園に身代金を取りに行くのだが…。
この誘拐事件の行く末は…?」
イヌダハジメ(aka キクタヒロシ)さんの今は亡き名ブログ「イヌノキュウカク」で紹介された作品です。
あまりにもあんまりな画力のことをとり上げていらっしゃいましたが、確かにうまくはありません。
でも、貸本漫画をある程度、読んでいると、慣れてしまって、この程度の絵でも味わい深く感じるようになりました。(個人差あります。)
それに、下には下がおりまして、もっとひどい作品もまだまだあります。(本当にあります。幸か不幸か、さほど巡り合っておりませんが…。)
絵はともかく、ストーリーは(ボロは多いものの)凝っているので、スリラーとしての出来は「中の下」あたりではないでしょうか?
あと、あくまで根拠のない推測に過ぎないのですが、絵は初期の松下哲也先生の影響があるのでは?
ちなみに、百合子が崖から落下するシーンはかなり笑えます。
・備考
経年の汚れや痛み、破れはあるも状態は良い。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕とテープ痕あり。
2023年7月29日 ページ作成・執筆