望月みさお「のろわれた女医」(200円)


「天神山の麓にある病院。
 そこに勤める関千秋女医は、若いながらも、手術に関して、優れた腕を持っていた。
 だが、彼女には、誰にも知られていない、奇妙な嗜好があった。
 彼女は血の色に夢中で、一週間に一、二度、天神山に登っては、高台から臨める夕焼けに血の色を重ね合わせて、陶酔する。
 その時の顔は、普段からは想像もつかないような、恐ろしい顔をしているらしい。
 しかし、ある時、手術が一週間もない日が続く。
 禁断症状を起こした彼女は、深夜、手術室に向かい、実験用のモルモットを解剖して、心のうずきを鎮める。
 ところが、その場を、入院患者の道子に見られてしまい…」

 「COLOR ME BLOOD RED(私を血の色に染めて)」な女医を描いた作品です。
 文字通りに「血に飢えた」キャラは当時としてはかなり斬新ではないでしょうか。

 更には、血を見ないと、禁断症状を起こしてしまうという、尖がりまくった設定となっております。

 とは言え、女医の凶行はせいぜいモルモットの解剖ぐらいのもので、人を殺めたりはしてないので、ちょっと物足りない感じです。
 でも、奇抜な内容のわりに、全体的な雰囲気は拍子抜けするほど、牧歌的で、その落差がなかなかクセになるかも…。

・備考
 カバー欠。糸綴じあり。前後の見開きの谷に紙テープで補強。後ろの見開きに貸本店のスタンプとボールペンでの書き込みあり。

2019年8月11日 ページ作成・執筆

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