望月みさお「狐つき少女」(220円/1965年頃?)
「静岡県富士郡大淵村で実際に起こった話。
郁美は、身体の弱い母親に甲斐甲斐しく尽くす少女であった。
ある日、郁美が山へ焚き木を取りに行った時、彼女に白狐が乗り移る。
以来、郁美は、目の前が真っ暗になり、記憶が途切れると、不思議な能力を発揮するようになる。
母親は郁美の持ってきた薬草で健康を取り戻し、近所の女性を落石事故から救う。
このことが村中に知れ渡ると、郁美の能力を頼って、大勢の人が郁美の家へ訪れる。
郁美は、生活が楽になるならと、人を占うことを引き受ける。
だが、生活は楽になったものの、母親はすっかり守銭奴となり、あまりの忙しさに、学校に行く余裕もない。
また、占いの際に、人々の醜い心を散々目の当たりにさせられ、郁美は疲弊していく。
そして、不思議な能力の存在が彼女にとって重荷になっていき、苦悩するのであった…」
一種の「霊感少女」テーマであります。(この時代は、「霊感少女」は「祈祷師」や「巫女」と相場が決まっていたような気がします。)
ストーリーは、白狐が憑依する説明がないのが若干気になりますが、破綻はなく、まあまあ楽しめます。
個人的に見所と思うのは、亡霊達が、郁子を取り囲んで、口寄せしてくれるよう頼むシーン。
あそこまで穏やかに、でも、執拗にお願いされ続けると、精神的にかないません。
絵柄もあっさりしてますが、それがかえって、不気味さを煽っているように思います。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。糸綴じの穴あり。読み癖あり。シミ、汚れ、多し。pp125・126、コマ内に穴、特に、p126は何かで濡らしてこすったようになっている。後ろの遊び紙に貸本店の貸出票の剥がし痕やスタンプ等あり。
2017年12月27日 ページ作成・執筆