望月みさお「校庭に泣く幽霊」(220円)
「太平洋戦争も末期の頃に、愛知県豊川市の小学校で実際に起きた話。
女性教師、吉本先生は、真面目な生徒のひろ美を、宿題を一回忘れたというだけでひどく叱る。
先生は、ひろ美を罰として教室に立たしておくが、うっかり彼女のことを忘れてしまう。
帰宅途中、急にひろ美のことを思い出し、学校に引き返すと、ひろ美の姿はもうなかった。
一安心して、吉本先生は家に帰ろうとすると、空襲警報が鳴る。
避難しようとした時、ひろ美の姿を見かけた吉本先生は、ひろ美の後を追おうとして、もう少しで命を失いそうになる。
翌日、ひろ美は学校を休むが、クラスメート達だけは彼女を見る。
吉本先生もひろ美の気配だけは感じ、訝っているうちに、無意識のうちに、危うく井戸に落ちそうになる。
ひろ美のことが気になって仕方ない吉本先生は、ひろ美の家を訪問。
すると、母親はひろ美は学校に行き、先程まで宿題をしていたと言う。
しかし、学校にいたかと思えば家にいたり、学校に行ったかと思えば行かなかったりとどこかおかしい。
吉本先生はひろ美の行方を必死になって捜すのだが…。
ひろ美の身に一体何が起こったのであろうか…?」
内容的には、オーソドックスな幽霊譚だと思います。
が、テンパっている場面の描写は、今回もなかなか「奇妙」で、味わい深いです。
どのキャラも基本オーバーアクションで、場面内容とキャラのポーズが合ってなく、このチグハグさが「前衛的なパントマイム」を彷彿させるのが原因の一つではないか、と考えてます。
とりあえずは、空襲後の焼け跡を下駄ばきで駆け抜ける吉本先生に「教師魂」を感じました。
・備考
カバーにしわや折れあり、その上にビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。前後の見返しの底に補強の厚紙貼り付け。後ろの遊び紙、切り取りのため、欠損。
2017年1月25日 ページ作成・執筆