大内清子「幽霊お嬢さん」(220円)
「木内加代子は、雑誌記者の兄の助手として、週末、怪奇現象の取材に出かける予定。
その前日、加代子は、何も当たっていないのに、額に重傷を負い、入院しなければならなくなる。
だが、出発当日、傷はあっさり癒え、加代子と兄は、S県の山奥にある妃田嘉(ひだか)村を訪れる。
妃田嘉村を訪れた兄妹であったが、村人の様子がどうもおかしい。
村人達は一様に二人に敵意を持っているようであり、加代子は見知らぬ少年に「うそつき」呼ばわりされてしまう始末。
二人はまず、宿を探そうとしていると、初対面の老婆が加代子をお嬢様と呼び、強引にお屋敷へと案内する。
老婆は加代子をすっかり別の娘と勘違いしており、加代子が屋敷の女中、つねにそのお嬢さんについて尋ねる。
つねによると、この屋敷のお嬢さんは、両親の死を悲しむあまり、取り乱し、村人に父親が貸していた金を皆から強制的に取り上げると、東京へ行ってしまったとのことであった。
その夜、兄妹は屋敷に泊まり、翌日、「蛇主の洞門」に向かう。
その途中、加代子が、昨日の少年を見かけ、声をかけると、彼は急に彼女を殴りつける。
彼の父親は病弱で、お嬢様は借金返さなくていいと話していたのに、約束は破られ、父親は無理がたたって、亡くなったのであった。
加代子は自分がお嬢様でないことを明かし、二人は仲直りする。
加代子は村を訪れた目的を話すが、「蛇主の洞門」と聞いただけで、少年は顔色を変え、呪いがあると逃げ出してしまう。
「蛇主の洞門」には、「若い娘が洞門に住む若い男と懇ろの仲になるが、男は洞門の蛇主であり、娘は蛇に変えられてしまった」という伝説があった。
更に、洞門を覗き込み、二匹の大蛇の目をした村人は熱病で急死し、以来、洞門に近寄る者はいなくなったと言う。
そんなものは迷信と加代子と兄がその洞窟を調べていると、隅っこに着物の切れ端が加代子の目に留まる。
すると、加代子の傷が猛烈に痛み出し、兄に介抱されて、加代子は里に下りる。
だが、屋敷に戻った途端、痛みは止まり、もう何ともない。
そんな加代子の様子に、女中のつねは挙動不審な態度を取る。
加代子は、屋敷にあるお嬢様の着物と同じ柄の布の切れ端があったことを疑問に思い、兄にもう一度「蛇主の洞門」を調べようと誘う。
「蛇主の洞門」の秘密とは…?」
東京漫画出版社に多くの貸本漫画を描いた大内清子先生。
丘野ルミ先生と同じく「明朗少女」ものがメインだったようですが、怪奇マンガもちょびっとだけ描いております。
ただし、丘野ルミ先生のように「バッド・テイスト」に徹することなく、非常に「ユル〜い」もので、大して怖くありません。
扉絵からして「明朗少女スリラー」と銘打たれており、そのジャンルはちょっと矛盾しているような気がしなくもないような…。
でも、ストーリーは割合きっちりしてますので、つまらないことはないです。
低年齢層向けに描かれていることを考慮に入れたら、こういう「ヌルさ」もありだと思います。
・備考
ビニールカバー貼り付け。p1、綴じ外れ。
2017年10月31日 ページ作成・執筆