三田京子「蒸発した美少女」(230円)



「雨の中、不動産屋の前に立ちつくす女性。
 彼女の頭の中には、部屋を借りなくてはという思いしかない…。
 女性は、アパートを借り、デパートでパート仕事をして、暮らすようになる。
 が、彼女には、不動産屋の前に立っていた以前の記憶が欠落していた。
 早菜子という名前は憶えていたものの、それ以外のことは全くわからない。
 手もとにあったのは、模様の入ったライターと十万円の入ったハンドバックだけであった。
 とは言え、早菜子は気ままな一人暮らしが性に合い、そのうちに、デパートの社員である小野原隆と付き合うようになる。
 早菜子は隆のことが好きだったが、そばに寄られると、説明できない嫌悪感に駆られる。
 やがて、黒いスーツと帽子の女性が早菜子の身辺に出没するようになるのだった…」

 意欲作ではありますが、二つあるストーリーが全く噛み合わず、失敗作だと思います。
 しかし、ちゃんと見どころはありまして、、デパートで遭遇する怪奇現象は、ジェットコースター的かつバッド・トリップな展開でなかなか楽しめます。
 また、三田京子先生に特徴的な描き込みは、相変わらず健在で、本のサイズが一回り小さいことと相まって、非常にゴチャゴチャした絵柄となっております。(画像を参照のこと)
 どちらかと言うと、私の好みではないのですが、どこか抗しがたい魅力があります。
 明らかに「偏執」的なところが、私の気性とフィットしているのかもしれません。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。ビニールカバーに紙の張り付きあり。湿気のためか、本体に歪みあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

平成27年12月25・27日 ページ作成・執筆

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