浅丘ルリ「手と眼と悪魔」(220円)



「麻衣子は、気まぐれでわがままなお嬢さま。
 母親にかまってもらえず、退屈を持て余し、彼女は盗むことによってスリルを得ようとする。
 百貨店で本を万引したり、クラスメートが誕生日プレゼントにもらったペンダントを盗み取ったり、公園のアベックからハンドバックを置き引きしようとしたり、遂には、母親の財布から金を抜き取ろうとまでする。
 しかし、ペンダントの件を、犬猿の仲である、女中のお常に知られ、麻衣子はお常に頭が上がらなくなる。
 それにムシャクシャした彼女は、ある日、クラスメートの京子の家を訪ねる。
 京子は、母親が病気のために学校を休んでおり、彼女に盗んだ金を恵むことによって、胸の憂さを晴らそうとしたのであった。
 京子は麻衣子の金を突き返すが、弟の順一の籠絡に成功。
 また、京子には兄がおり、麻衣子は彼を優しく、また、たのもしそうだと思う。
 麻衣子は、お常からペンダントを取り戻そうと、京子の兄にお常を襲うよう頼むが、当然のことながら、断られる。
 仕方なく、彼女は三人組の不良に依頼して、夜更けに、お常を襲わせる。
 そこに、京子の兄が駆けつけ、襲撃は失敗、彼は、お常から麻衣子の盗み癖について聞かされる。
 彼は、京子を改心させようとするも、麻衣子には糠に釘。
 だが、麻衣子は、不良三人組に脅迫されるようになり、徐々に追い詰められていく…」

 「少女スリラー」とは銘打っておりますが、「怪奇マンガ」ではありません。
 でも、「退屈しのぎに盗みを重ねる少女」という設定が、当時としては、斬新だったのでは?と考え、紹介してみました。
 眼をぎらつかせて、盗みの機会を窺う描写がなかなか良いと思います。(ヒロインは顔に感情が出過ぎだけど。)
 ちなみに、ヒロインはかなりエキセントリックな性格で描かれている割に、ラストはあっさり改心しちゃって、首をかしげちゃいました。

・備考
 ビリ―ルカバー貼り付け。糸綴じあり。「名古屋漫画図書館」のスタンプ、本文に多数。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕とスタンプあり。

2020年7月28日 ページ作成・執筆


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