みきそのこ・北沢雪夫「炎A」(220円/1966年頃)



 収録作品

・みきそのこ「心の人」
「伊野田理絵は今年の春、学校を出たばかりのBG(ビジネス・ガール)一年生。
 彼女は引っ込み思案で、勤めの後、皆と夜の街に遊びに出ずに、いつも一人で帰宅していた。
 ある日、彼女の課で大木信介という若い男性が働くこととなる。
 彼女は彼に一目惚れ。
 だが、彼は彼女の隣の机なのに、ろくろく会話もできない。
 そんなある時、会社の彼に電話がかかって来る。
 電話は彼の母親が盲腸で緊急入院するという用件で、理絵は出先の彼に連絡を取り、その旨を伝える。
 彼の家族は母親だけで、彼は彼女に大いに感謝し、プレゼントを渡す。
 これで二人の仲が進展するかと思いきや、彼女は彼に対して気の利いたことが言えず、また、仕事の後、彼と付き合うこともなかった。
 彼女は自分に対しフラストレーションを募らせていき、それが彼への態度に現れてしまい…」

・北沢雪夫「夢の中の恋人」(1966年7月)
「中島研二はある雨の日、雨宿りに寄った道具屋の店先で恋に落ちる。
 その相手は油絵の少女であった。
 その夜、彼の夢の中にその少女が現れる。
 以来、彼は度々道具屋に行き、その油絵を時を忘れて眺める。
 そして、絵を見た日の夜には、必ず少女が夢に現れるのであった。
 彼は絵を買おうと道具屋に向かうも、その絵はすでに売れてしまう。
 その失恋の後、彼は以前から友人だった弘子と付き合い始める。
 ある日、二人が散歩していると、ゴミ収集車の荷台から一枚の絵が落ちる。
 その絵は彼が恋した娘の絵であった。
 この再会の後、彼は再びあの娘にのめり込むようになる。
 弘子は彼とよりを戻そうとするのだが…」

 北沢雪夫先生「夢の中の恋人」はどこかで読んだことのあるような話ではありますが、まとまりが良く、オチもしっかりした絵画幻想譚です。
 新鮮さはなくとも、ツボを押さえた展開で読ませます。
 ちなみに、みきそのこ先生の作品は非常に女々しい内容で、今となっては古臭いと思います。
 実際のところ、本編よりもその後の読者コーナーの方が濃いです。
 「体験手記応募品」では、読者が自分の考えを手書きの文章で訴えておりますが、ちょっと鬱陶しいかも…。
 そして、「読者の皆様へ」のページでは、人の漫画を「逃避的」と呼び、「社会的矛盾のはしくれでも追及しているような作品がみたい」と自分勝手なことを言う読者からの手紙に先生ご自身がくどくどとお返事をしております。
 個人的には、「だったら読むな」と一言投げつけておけば十分な気がしますが…。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。テープ補修が多く、それが痕となっている。糸綴じあり。表紙、左上に書き込み。本文、シミ、汚れ多し。p76、落書き(字の真似)あり。後ろの遊び紙に鉛筆での書き込みあり。

2023年6月8日/8月15日 ページ作成・執筆

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