北沢雪夫「狂人の館」(220円)
「避暑のために、高原にあるH湖畔の別荘を訪れた、西一家。
研二と洋子の兄妹は、地元の老人と高原を散策している時、深い霧の中で老婆と出会う。
老婆は研二のことを純一と呼び、いくら正しても、納得しようとしない。
一週間後、高原を散歩していた洋子は急な雨に襲われ、立派な西洋館に雨宿りのため、立ち寄る。
そこは先日の老婆が住んでいた。
老婆は洋子にお嬢様を紹介しようと言うが、そこには誰もいない。
洋子は老婆の頭がおかしいと考えるものの、何者かの気配はするし、食卓の料理もいつの間にかなくなっている。
気味悪く思う洋子は鏡の中に和服姿の少女の姿を見て、館をとび出すのであった。
翌日、研二が、洋子と共に絵を描く場所を探していると、再び老婆が二人の前に姿を現す。
二人は老婆のもとを急いで離れようとするが、深い霧が周囲に立ち込め、居場所がわからなくなる。
そこへ、純一の名を呼ぶ、少女のおぼろげな影が現れ、洋子が気がつくと、研二は何処かへ姿を消していた。
その夜遅く、研二は家に帰ってくるが、どことなく様子がおかしい。
翌日から毎日、研二はどこかへ出かけ、夜遅く帰宅するようになる。
何やら絵を描いているようで、洋子がこっそり研二のスケッチブックを見ると、あの和服の少女の絵が描かれていた…」
「純愛ドラマ」路線で、みきそのこ先生あたりと人気を二分していた(ような気のする)北沢雪夫先生。
やっぱりスリラーも「純愛ドラマ」路線です。
派手なショック描写とは無縁の内容ですが、個人的には、雰囲気があって、いいと思います。
・備考
カバー貼りつき。本文、目立つシミ、多し。巻末に貸出票の剥がし痕あり。
2016年9月22日 ページ作成・執筆