小林生枝「怪猫屋敷」(220円)



「和泉医師は、病身の妻のため、郊外の屋敷に居を移す。
 最初に訪れた時、妻は、屋敷の中に、臼を引く老婆を見て、卒倒。
 老婆の件は夢と片付けられるが、夜間、医師が往診に出かけている間に、飼い犬を殺され、妻は謎の老婆に襲われる。
 医師が駆けつけると、老婆は姿を消し、気味の悪い黒猫が二人をねめつけていた。
 翌日、寺を訪れた医師は、和尚から妻に怨霊が憑りついていると告げられる。
 和尚が話すには、百五十年前、医師の住む屋敷は、タチバナ三郎左エ門という武家の屋敷であった。
 三郎左エ門は非常に横暴な性格で、妻を亡くしてからは、唯一の楽しみは碁のみ。
 ある夏の日、三郎左エ門は、碁の相手として、盲人の小金吾を屋敷に呼び寄せる。
 だが、小金吾が出かけようとすると、飼い猫のタマがまとわりついて、邪魔をする。
 ようやく屋敷に着き、勝負が始まるが、不利を悟った三郎左エ門はいかさまを図る。
 しかし、あっさり小金吾に見破られ、逆上した三郎左エ門は小金吾を斬殺し、その死体を床の間の壁に埋める
 その夜、唯一の肉親である母親のもとに、血まみれの小金吾の幽霊が現れる。
 事情を察した母親は、タマに仇を取るよう頼み、短剣で喉を突いて、自害。
 小金吾と母親の血を舐めたタマは、二人の怨念を得て、タチバナ三郎左エ門に復讐を開始する…」

 十中八九、故・中川信夫監督の「亡霊怪猫屋敷」(1958年)が元になっていると思います。(注1)
 ぶっちゃけ、焼き直しですので、個人的には、あまり面白味のある作品ではありませんでした。
 ただ、この作品では化け猫は「黒猫」で、老婆に化けていても、黒いというところがちょっぴり珍しいと思いました。(右上の画像を参照のこと)

・注1
 怪猫ものに限らず、1950〜60年代には、多くの怪談映画が撮られております。
 ただ、大半は名のみ知るだけで、実際に観たことはありません。
 でも、このあたりの知識なしに、貸本怪奇マンガを語ろうとしても、まさしく片手落ちなのであります。
 当方としても「チリを積もらすように」知識を集め続けてはいますが、所詮「チリ」は「チリ」…吹けば飛ぶようなものでしかありません。
 いつの日か、ストロング・スタイルな知識を持った人達によって、より奥深い報告がされるのを待つばかりであります。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。ビニールカバーに落書き。前後の見開き、貸本店のスタンプあり。小口の底に青のゾッキ線。前の遊び紙及びカラーページ、目立つシミ、汚れあり。後ろの遊び紙、貸出票の剥がし痕あり。

2018年6月28日 ページ作成・執筆

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