森由岐子「鬼女姫」(220円)



 収録作品

・「鬼女姫」
「戦国時代。
 妖姫は、心から慕う家臣の貴則に後ろ髪をひかれながらも、落城寸前の城を脱出する。
 侍女の手引きによって、山中の洞窟に身を隠すものの、持病の胸の病が悪化し、喀血。
 再び貴則に会うことをこいねがうあまり、妖姫は侍女の生き血をすすり、健康を取り戻そうとする。
 遂には、生血がなければ生きていられない身体となった妖姫は、死んだ侍女の代わりに、近隣の村の少女達を襲い始める。
 数年後、城では平和を取り戻し、どうにか生き延びた貴則が妖姫の帰りを待ちわびていた。  ある日、突然、妖姫が城へと帰還し、二人は再会する。
 だが、以来、城では腰元達が不審な失血死を遂げていく…」
 「吸血姫様御乱心の巻」なのであります。
 似たようなテーマとして、小島剛夕先生の(個人的に)傑作「血牡丹の塔」なんかがあります。
 また、古賀新一先生の「血、血が欲しい」からの影響も感じます。(勘違いかも…。)
 普段は少女マンガちっくなのに、生血が切れると、白目を剥いて、禁断症状を起こしまくった挙句、凶悪な面の鬼女姫様になってしまう描写は、当時としては、なかなかグロテスクだったように思います。
 さぞかし読者の女の子達は恐怖に震えたことでありましょう。

・「難波慕情」
「難波にある大きな呉服問屋、越後屋。
 清吉は、越後屋一の働き者の手代(昔、商家で番頭と丁稚の間の奉公人/「角川新国語辞典」)であった。
 越後屋の主人の長女、由加は勝気で意地っ張りな性格で、清吉にいつもきつく当たっていた。
 一方、次女のお光はおっとりした女らしい性格で、清吉を慕う。
 そんなある日、母親から由加に清吉との結婚話が持ち出されるが、意地を張って由加はその話を蹴る。
 必然的にその話はお光のもとに行き、由加は素直になれない自分の心に一人苦しむのであった…」
 怪奇マンガではありません。
 「舞台が難波で、商家の素直になれない娘と使用人の結ばれない恋」と言えば、小島剛夕先生の「なにわ物語 雪の法善寺」にもありました。
 元となった話があると思うのですが、何なんでしょうか?

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり(頑張って剥がしましたが、剥がさない方が良かったかも…)。湿気のために、本体ひん曲がってます。糸綴じあり。前後の見開き、落書きあり。本文、濡れ痕あり。pp12・13、pp60・61、食べ物の破片が挟まって、シミになっている。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2017年1月26日 ページ作成・執筆


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