森由岐子「真珠になった月見草」(220円)
「孤児の由加は、死んだ両親の世話になったという田中家に身を寄せていた。
田中の母と娘の京子は、由加を朝早くから晩遅くからこき使い、ことあるごとに罵倒する。
ある秋の日、松ぼっくり拾いにでかけた由加は、民夫という青年から手助けされる。
民夫は、肺病の療養のために、豪華な別荘に滞在しており、窓から見える由加に興味を持ったのであった。
彼は由加に自分を実の兄と思うよう言い、肉親のいない由加は嬉し涙を流す。
以来、民夫は、わずかな時間を見つけては由加と逢瀬を重ね、二人は想いを深めていく。
だが、春が訪れた頃、由加は、京子の母親から、肺病持ちの民夫と会わないように厳命される。
一方の民夫も病状が悪化し、外出禁止となる。
民夫は、自分の余命が幾ばくも無いこと、父親の再婚相手が妊娠したことを知り、由加を守るためにある決断をする。
その夜、民夫が行方不明になったことを知った由加は、彼を探しに寝間着のまま、外にとび出す。
あちこち探し回るが、民夫の姿はどこにもなく、由加が悲嘆に暮れていると、彼女の前に民夫が現れる。
彼は、彼女をいつどんな時でも守ると約束し、家に帰るよう勧めるのだが…」
唐沢俊一&ソルボンヌK子「森由岐子の世界」(白夜書房)にて紹介されております。
ですが、「能天気」とか「ブッ飛び」とかいう要素はさほど見当たらず、森由岐子先生らしいリリカルな悲恋ものです。
ラストでは「静かだな〜海の底〜」(by ジャックス)(注1)の歌詞が脳内再生されました。
・注1
有名な放送禁止歌「からっぽの世界」より引用。
そう言えば、吾妻ひでお先生も漫画の中で使っておりました。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー破れと補修あり。全体的にシミや汚れがちらほらあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と書き込みあり。
2017年11月6日 ページ作成・執筆