三田京子「怪談聖女もなりざ」(220円)
「政治家と財閥が結託し、徹底的に政治が腐敗した日本。
一部の資本家を除き、一般庶民は大インフレに青色吐息であった。
ある月夜、九州の貧乏百姓の娘、小絵は神の声を聞き、不思議な力を授かる。
たった一夜で東京まで駆けた小絵は、小さなお菓子屋の地下室に案内される。
そこは、政府へのレジスタンス組織、あかつき会の本部であった。
黒色の衣装に身を包んだ小絵はあかつき会の会長となり、彼らの指導者となる。
クリスマスの夜、小絵は町に視察に出かけ、金持ち達の豪奢な生活を目の当たりにする。
小絵は、堕落しきった金持ち連中に怒りを燃やし、彼らを倒す決意を固める。
そして、遂に、一般庶民が蜂起する日が訪れる…」
三田京子先生の作品の中で最も有名で、最も面白く、そして、最も過激な作品の一つだと思います。
唐沢俊一氏・監修「まんがの逆襲」(福武書店)の中で、当時の奥さんだったソルボンヌK子さんによって(ダイジェストではありますが)紹介されました。
これで火が付くかと思いきや、残念ながら、以降、世間で三田京子先生が本格的に取り上げられることはありませんでした。(やはり本が手に入りにくいのがネックだったのでしょう。)
でもね、今からでも遅くはありません、この作品はマジで復刻され、多くの人に読まれるべきです。
ラストに向かって加速度的に歯止めが効かなくなっていく中、読者がここまで高揚感に包まれる作品というのは滅多にありません。
作者はかなり本気で政治への怒りを訴えようとしたんでしょうが、妄想と勘違いから、全く「地に足のつかない」革命物語へと飛躍してしまったことはまさにマジカルの一言。
あまりのチープさ故に、人によっては鼻で笑い飛ばす内容でしょう。
ですが、政治というものに皆、幻滅しか感じない今こそ、熱きハートを、燃えるような情熱を、たぎる血潮を取り戻し、「これが俺の世直しだ〜」と決起しようではありませんか!!(「世直し」は各自の責任でお願いいたします。)
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり、また、それによるカバー痛み・歪み。前の遊び紙、破れや折れ。本文、全体的に湿気による歪みあり(前半部、水濡れの痕あり)。後ろの遊び紙に、貸出票の貼り付けあり。
2019年1月14日 ページ作成・執筆