浅丘ルリ「月光の女」(220円)



「石田昇平は、金持ちで美人の娘、梨花と付き合っていた。
 ただ、梨花は日没までには必ず家に帰るよう、父親に決められていた。
 もしも、帰宅が少しでも遅れると、普段は温厚な父親は豹変し、鬼のようになって怒り狂う。
 梨花は父親の二重人格ぶりに疑問を抱いていたが、年老いた女中の梅に尋ねても、口を濁すばかりであった。
 ある日、梨花に嫉妬する娘達の悪戯により、帰宅が夜になった梨花は例の如く、父親の暴力にさらされそうになる。
 そこへ、昇平が現れ、父親に事情を説明しようとするが、全く聞く耳を持たない。
 それどころか、梨花のことを、亡くなった母親の名前で呼び、半狂乱となる。
 翌日、昇平は、梨花の父親の雇ったチンピラの乱暴を受け、以降、梨花とは関わろうとしなくなる。
 梨花は父親の秘密をどうしても知ろうと決め、梅に激しくせがむ。
 すると、梅は、町はずれの小さな赤い屋根の家を訪ねるよう答える。
 雨の降る中、梨花がその家に行く。
 そこで、カーテンの向こうの占い師は、梨花の両親についての恐ろしい過去を語るのであった…」

 内容は、まあ、それなりです。
 表紙に「怪奇ロマン 青春篇」を銘打たれているだけあって、基本は青春もので、それにキチガイ父娘を絡めたものです。
 という訳で、残念ながら、残酷描写はあまり力を入れておりません。
 ラスト、自分の両親の真相を知って、キチガイ道を邁進する梨花が見どころと言えば、見どころかもしれません。(と言いつつも、そこまで凄いもんでもないです。)

 ただ一つ、気になったのが、右のイラスト。
 何か、楳図かずお先生の絵に似ているような気が…。(私、楳図かずお先生に関しては、そこまで詳しくありません。)
 楳図かずお先生に詳しい方がこのマンガを読まれたら、いろいろと発見があるかもしれませんね。

・備考
 本体が表紙から外れそう。ビニールカバー貼り付き、また、それによる本体の歪みあり。読み癖あり。小口にシミ多し。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2016年10月13日 ページ作成・執筆


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