三田京子「怪談呪い琴」(220円)
「ある夜、香夜(かや)は、妹の「つぶら」、恋人の夕一と共に縁側で涼んでいた。
おそい時間に来客があり、香夜が玄関へ応対に出て以来、彼女は消息を絶つ。
姉が姿を消した夜、つぶらは、夢の中に、屋敷と沼を見る。
翌朝、夢で見た光景を探すと、琴の師匠である琴路(ことじ)の屋敷が合致。
つぶらはお手伝いとして屋敷に住むこむが、最初の仕事は、琴を沼に捨てて来るというものであった。
とは言え、勿体ないので、つぶらは琴の色を塗り替えて、自分の部屋に置く。
その夜、夕一が、香夜の行方を尋ねに、琴路の屋敷を訪れる。
琴路が言うには、あの夜、香夜が彼女のもとにやって来て、夕一と結婚するために、次のおさらい会での優勝を譲ってくれと頼みに来たらしい。
しかし、琴路に断られ、夕一にもこのことを知られると考えた香夜はそのまま、姿を消したのでは、と琴路は話す。
恋人に裏切られたと思い込み、また、琴路の愛の告白をされ、夕一はあっさり琴路に乗り換える。
だが、つぶらは姉がそのようなことをするとは思えない。
その夜、例の琴が、夜中にひとりでに鳴ったりとおかしなことが起きる。
また、琴路の琴に対する態度もおかしく、つぶらは、琴路と琴の間に何か秘密があるのではないか?と考える…」
三田京子先生にしては「地味」な作品だと思います。
構成に難があり、後記で一気に説明をしてしまうのパターンです。(伏線を回収しないのもどうかと思うけど、伏線がないのも如何なものか?)
ただ、ラストに予想外に残酷描写がスパークしており、これはなかなか印象的かもしれません。
ちなみに、切断された手首が琴を弾くシーン(下の画像を参照のこと)で、大林宣彦監督「ハウス」にて「指だけがピアノを弾く」シーンがフラッシュバックいたしました。
今観たら、何でもないけど、小学生の時は、死ぬほど、不気味だったんだよ、あのシーン!(あと、西瓜のシーンも怖かった!)
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。pp3・4、下部に大きな裂けあり、また、微小な欠損あり。pp7・8、下部にコマに若干かかる欠損。目立つシミ、欠損、裂け、多少あり。前の見開きにスタンプ、後ろの見開きに紙貼り付け。p76、コマ内に書き込み。
2019年9月22・23日 ページ作成・執筆