浅丘ルリ「海へび少女」(220円)
「離島で婆やに育てられ、成長した少女、緑。
ある夜、緑は、彼女が赤ん坊の時に亡くなった母親に呼ばれ、海辺へと走り出る。
海に転落した緑は、母親の霊と寄り添うようにして、自在に海を泳ぐ。
翌日、緑は婆やから両親のことを聞く。
過去、緑の両親である秀政と千波は、秀政の親に結婚を反対され、この島にひそかに移り住む。
やがて女児、緑をもうけるものの、二人は発見され、秀政は連れ戻される。
島に残り、夫の帰りを岸壁で日々待ち続けた千波は、次第に発狂し、遂には海に転落死。
そして、秀政は、大金持ちの娘と結婚し、家庭を持っているのだと言う。
秀政に会うことを切望した千波は、緑に憑りつく。
緑は、ドレスのまま、海を泳いで渡り、秀政の一家の住む屋敷に忍び込む。
しかし、緑を目の前にした秀政は、おのれの過去が明らかになることを恐れるのであった…」
浅丘ルリ先生の貸本怪奇マンガの中では最も良質な一冊であります。
強引な後付け設定のある作品が多い中では、ストーリーが割合、自然な流れになっており、読みやすいです。
楳図かずお先生の「へび少女」の影響をかなり受けているようですが、そこは「海へび少女」にして、違いを出しております。(でも、やっぱり「へび少女」な描写があったりします。)
この「海へび少女」、他に類似したキャラはどうも記憶にありませんので、モンスター描写がふんだんに盛り込まれていれば、傑作になったかもしれません。惜しいです。(注1)
それと、この頃の浅丘ルリ先生の美少女キャラはかなり艶っぽくて、個人的にかなりいいと思います。(これも楳図かずお先生の影響?)
貸本時代が終焉を迎えた後、浅丘ルリ先生は、ペンネームを変えて、エロ劇画に進出した模様ですが(ちゃんと確認をとってません)、「さもありなん」って感じです。
・注1
海で活躍するモンスターなら、当時は「半魚人」もしくは「人魚」(若い娘限定)が一般的だったのではないでしょうか?
浅丘ルリ先生には「半魚人少女」というマンガもありますが、未入手故、内容の確認ができておりません。
読みたいけど、なかなか大変だろうな〜…。
・備考
ビニールカバー剥がし痕、若干あり。pp6・7、開き破れ。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕とスタンプあり。
2016年10月16日 ページ作成・執筆