しきはるみ「継母幽霊」(220円)



「四人姉妹を抱える島田家が迎えた二度目の母は、結核を患い、長く療養生活をしていた。
 家族会議が開かれ、彼女を田舎に返そうという意見が出るが、継母を心から慕う四女の道子は大反対。
 遂には、継母と共に心中を図るものの、心ならずも自分だけ生き延びてしまう。
 そんな折、会社の社長から出世と引き換えに娘を一人養子にもらえないかという相談が父親にある。
 父親の出世のため、姉達の生活の安定のため、そして、母親の愛に飢えていることもあって、道子は自分から進んで、社長の家の娘となる。
 そこへ、道子のことを心配した継母の幽霊が現れるのだが…」

 この粗筋と絵柄から判断すると、泥臭いながらも、どこか懐かしい「人情もの」の香りが漂っております。
 ですが、このマンガ、ラストでこちらの予想をひっくり返してくれてます。
 ネタバレですが、ラストは「道子は継母の幽霊を追っかけて、転落死。最後のページで、人魂が二つ並んでいる」というもの。
 傍から見たらバッド・エンドなのですが、「継母一筋」でマンガを描き続けてきた、しきはるみ先生にとっては、たとえ幽霊になっても、継母と一緒におれることはハッピー・エンドだったのかもしれません。
 それにしても、何故そこまでして、継母にこだわらなければならないのか?
 しきはるみ先生がいまだ御存命であるなら、御本人に、(もしも鬼籍に入られているのであれば、親族や関係者の方々に)詳しくお話を伺う機会があれば…と願っております。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。前の遊び紙、欠損あり。表紙、本体から外れかかり。pp34〜39、何かが挟まって、シミが何ページにも滲みている。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2017年1月19日 ページ作成・執筆


東京漫画出版社・リストに戻る

貸本ページに戻る

メインページに戻る