谷ゆきお「奇歯」(190円)
「泉宏次はある雑誌社のカメラマン。
スクープを求め、駆けまわっているが、同期の秋本にいつもスクープを横取りされていた。
ある夜、宏次は、年寄りのスリがヤクザの集団にリンチにあっているのを目にする。
今回も秋本に手柄を奪われたものの、ヤクザが秋本を追っている間、宏次はスリの手当てをする。
スリはお礼にと宏次に封筒を手渡すが、その中には「ネバネバに包まれた歯」が入っていた。
妹の恵子は気持ち悪がるも、宏次はそれを捨てそびれる。
ある夜、宏次と恵子が、兄夫婦の家を訪ねると、夫婦は両頬にケガをして倒れていた。
彼らによると、ダンスの最中、急に頬に痛みを感じて、気絶をしたと言う。
帰宅後、宏次と恵子は、あの歯が兄夫婦の結婚写真に包まれていることに気付く。
歯からはネバネバが出ていて、ケガをしたところと同じ部分に滲んでいた。
恵子は、歯に傷を負わせる不思議な力があると考え、いつも彼女に吠えかかる犬の写真で試してみる。
翌日、その犬は腹をえぐられて、死んでいた。
恵子は歯の処分を宏次に頼むが、彼はひそかにその歯を隠し持つ。
彼はその歯の不思議な能力を試した後、その歯を使って、スクープを次々とものにしていくのだが…」
カメラマンを主人公に据えたシリーズ「ミステリーフラッシュマン」の第一作ではないでしょうか?(注1)
ジャンルは怪奇ものとは言えませんが、残酷描写がキツいことと、元ネタがA・J・アランの名作「怪毛」で、怪奇色はかなり強めです。
・注1
「ミステリーフラッシュマン」シリーズは二作目(?)「散歩する眼」(未入手)、三作目「狙ったら撮れ」と三作あるようです。
ただ、私はそこまで詳しくはありませんので、もしも他の作品を御存知の方がおられましたら、ご教示いただけると幸いです。
・注2
A・J・アラン「怪毛」については、「怪談・71」を参照のこと。
当時の怪奇マンガには、影響を受けた作品が幾つかあります。
・備考
ビニールカバー貼り付けあり。小口に緑色。糸綴じあり。最終ページが遊び紙に貼り付いて剥げあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2022年2月7日 ページ作成・執筆