好美のぼる「怪談ほたる火少女」(220円)
「病床に就く母親とアル中の父親を持つ姉弟、武田美代と進。
彼らは捕まえた動物を逃がす代わりに、母親の病気が治るように、また、父親が酒を飲まないよう神様に祈る。
初夏、生け花の師匠のところの娘と共に姉弟は蛍狩りに出かける。
美代と師匠のところの娘はさっぱりだったが、進が大奮闘、蛍をカゴいっぱいに捕まえる。
しかし、帰宅後、酒で人格の変わった父親に蛍カゴを踏み潰され、蛍は全滅。
姉弟は蛍の墓を作り、次の夜、新聞配達の少年、次郎とまた蛍狩りに出かける。
美代は蛍を捕まえようと必死になり、誤って堤に転落、ようやく捕まえた三匹の蛍を手に、溺死する。
その頃、酒を飲んで、姉弟の母に暴力を振るおうとする父親の前に、三匹の蛍が飛んでくる。
母親は異変を感じ、師匠のところの娘に様子を見に行かせるのだが…」
好美のぼる版「火垂るの墓」…というのはウソです。ごめんなさい。(一応、女の子は死にますが。)
実際は、好美のぼる先生の典型的な「お涙頂戴もの怪談」です。
非常にベタかつご都合主義で、鼻もひっかけない向きもあるでしょうが、私はこういうマンガ、好きです。
根が単純な人間なので、こういう単純な内容でも、すぐジーンときちゃうんですよね。
内容も珍しく破綻がなく、安心して読める作品です。(ただし、奇抜さを求める人達にはご期待に沿えません。)
好美のぼる先生はヘンテコなマンガばかり取り沙汰されておりますが、こういう「古風」な作品にも是非スポットライトを当てていただきたいものです。
あと、この単行本で謎なのは、好美のぼる先生のサインがあることです。
私は古書の専門家ではありませんので、真贋の程は定かでありません。
「1966年7月26日」に「坂ちゃん」という人に贈呈された旨、書かれておりますが、詳細は全くわかりません。
ただ、サインにしても、サインペンなど用いず、ボールペンで巻末に殴り書きというのが、好美のぼる先生らしいかも…。
・備考
非貸本。まあまあ状態はいいが、経年の痛みやシミあり。カバーに痛みやシミがあり、背表紙上部に欠損あり。
2017年7月15日 ページ作成・執筆