小林生枝「あんまの笛」(220円)
「一人娘のお種のために、日々、仕事に精を出す、按摩の宗市。
年の暮れ、彼は、島田左エ門という侍のもとに集金に訪れる。
だが、左エ門は、赤ん坊がいるのに、酒浸りで、宗市を盲人だとナメてかかる。
あまりの仕打ちに宗市が左エ門をなじると、逆上した左エ門は宗市を斬殺。
左エ門は弟分の喜助に宗市の死体をくもり沼に沈めさせる。
だが、宗市の怨念が左エ門に憑りつき、妻を宗市と見間違えて殺害。
自身も、宗市の怨霊を追ううちに、くもり沼に沈む。
そして、二十数年後。
左エ門の息子、矢之助は、呉服屋を営む近江屋の夫婦に拾われ、番頭として働いていた。
しかし、後継ぎは彼でなく、多吉が選ばれ、更に、宗市の娘、お種と近々結婚すると言う。
面白くない矢之助は、愛人と相談し、多吉とお種の結婚式の際、お種の着物を粗悪品にすり替え、大事な式で恥をかかせる。
張本人が矢之助と知り、お種は彼を殺そうとするが、あやまって自分の胸に包丁を突き立ててしまい、瀕死のお種は沼に身を沈める。
次は、多吉を亡き者にしようと、矢之助は、商品の届ける途中で、多吉を崖から突き落とす。
その帰り道、山中で迷い、矢之助は山小屋の老婆のもとに一夜の宿を乞うのだが…」
怪奇時代物でたまに出てくる、あんまの祟りをテーマにしたものです。(注1)
ただし、この作品では、あんまの怨霊は大して活躍せず、あんまの妻や娘も悪人に殺されちゃってます。
なんか…ダメじゃん…。
ちなみに、巻末に次回予告として「怪談絵巻」のイラストが載っております。
このイラストがめちゃくちゃ味ありまして、期待感は高まるばかりですが、こんな運動会みたいなシーンはありません。
しょぼ〜ん。
・注1
月宮よしと先生も同じようなテーマで描いていたはずですが(「怪談座頭市」?)、今回、チェックする余裕がありませんでした。申し訳ないです。
それにしても、盲人が祟る話って、意外と多いかもしれません。
差別されながらも、常人とは違った感覚が発達していたために、ある種の畏怖感があったのではないでしょうか?
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー歪み、痛み。前後の見開きのノド、紙テープで補強、かつ、貸本店のスタンプあり。pp16〜23、目立つシミ、汚れあり。
2018年6月27日 ページ作成・執筆