森由岐子「月夜にあなたは蛇になる」(220円)
「孤児院で育った菜々子。
ようやく養女としてもらわれるが、彼女の母親となる女性は、小さな食堂の女主人で、菜々子を奴隷のようにこき使う。
かと言って、他に行くところもなく、睡眠時間は一日に四時間という環境で、菜々子は疲労困憊。
病気になって倒れても、ろくな看病さえしてもらえない。
病床で菜々子が死について考えていると、夢の中、白い蛇が現れ、彼女にまとわりつく。
驚いて目を覚ますと、菜々子の体調はすっかり回復していた。
以来、菜々子が疲労の絶頂にある時、夢に、白蛇の精である男性が現れるようになる。
彼はユキオと名乗り、薄幸の生活を送る菜々子に幸せを与えるために神から遣わされたと話す。
そして、美しい優しい心を失わず、強く正しく生きるよう彼女を諭すのであった。
つらい毎日にも、菜々子には夢を見るという楽しみができ、また、夢を見た日には何かしらいいことが起きるようになる。
更に、菜々子がピンチに陥った時に、ユキオの名を呼ぶと、菜々子を窮地から救ってくれるのであった。
菜々子はユキオを信じ、強く生きていこうと決意する。
その矢先、彼女の母親が心臓発作で寝たきりになる。
また、菜々子が偶然に拾った宝くじが大当たりして、四百万円という大金が転がり込む。
今までと立場が逆転すると、今までの復讐と、菜々子は寝たきりの母親を虐待し始める。
そんな時、菜々子の夢に、ユキオが現れ、美しい心を取り戻すよう嘆願するのだが…」
森由岐子先生の貸本マンガの中でも、かなり好きな部類に入ります。
基本は「白蛇の精」と「薄幸な少女」の純愛ものですが、やはり「因果応報」がキッチリしていると、読ませますね。
また、自分が優位になった途端に、性格が真逆になるヒロインがやけにリアルなのも、ポイント高いです。(人を許すと言うのは難しい事です。)
ちなみに、白蛇の精は寒さに弱いという描写がありますが、これって、ヘボヘボな怪奇映画「蛇女の恐怖」の影響でありましょうか?
・備考
状態、非常に悪し。カバー欠。表紙に汚れあり。鉄鋲にて綴じ。本文中、シミ、剥がれ、切れ、コマにかかる欠損、汚れ、水濡れ、メチャクチャあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2017年4月13日 ページ作成・執筆