滝田ゆう「おこつ狂騒曲」(240円)


 収録作品

・「おこつ狂騒曲」
「オートメーション化を推し進め、日本の火葬を一手に握る「日本ヤキバ公団」。
 徹底したサービスを提供し、商売繁盛、事業を拡大する一方。
 だが、こういう金の集まる所は汚職の温床となるもので…」
 あくまでも推測に過ぎませんが、イーヴリン・ウォーの名作「囁きの霊園」(早川書房)、もしくはその映画化「ラヴド・ワン」(未見)に影響を受けたのではないでしょうか?
 「囁きの霊園」は、光文社古典新訳文庫で「ご遺体」のタイトルで出されているので、読みたいものです。

・「すちゃらかちゃん」
「調子のいいことをべらべら喋りまくる太鼓持ち、我滅家一八。
 このテレビ時代、あちらこちらのテレビに顔を出して、ボロ儲け。
 顔を売れ、金持ちになった彼にある話が持ち掛けられる…」
 ネタばれとなりますが、芸人が政治家になる現象を予言した作品かもしれません。
 にしても、この作品のモデルになっている人物はいるんでしょうか? とっても気になる…。

・「お通夜の客」
「お通夜をしている家を、ある男が訪れる。
 彼は通りすがりの者で泊まるところを探していた。
 お通夜をしていた連中は、彼にお通夜を任せて、帰ってしまう。
 男が臆することなく、酒を飲んでいると、死体が起き出してくる…」

・「終列車」
「終列車を待つ、一人の男。
 男は自殺をするつもりであったが、列車はちっともやって来ない。
 それもそのはず、前の駅で飛び込み自殺があったのだ。
 男は心変わりをして、自殺をやめる決心をするのだが…」

・「宝石」
「あるデパートに新人の夜警が入ってくる。
 ズレたところのある新人に、ベテラン夜警は困惑するばかり。
 そこへ緊急の電話が入り、ベテラン夜警のうちの一人が帰宅してしまう。
 新人とベテランの夜警は二人きりでデパートを見回ることになるのだが、ベテランの夜警にはある思惑があった…」

・「鍵」
「砂漠を北に進む一台のジープ。
 車には二人の男が乗っていて、一人はこの計画の発案者で、もう一人は金庫破りの達人。
 計画の発案者の男は、一週間、同じ夢を見ていた。
 夢では、「インカビオスの像」が現れ、太陽が西に沈む頃、像の影の指先が示す地点に、財宝が隠されていた。
 しかし、宝箱を開ける鍵がないので、金庫破りの男を連れてきたのである。
 夢で見た通り、彼らは「インカビオスの像」を発見する。
 だが、そ宝の在処を掘ろうとした矢先、彼らは流砂に呑まれてしまう。
 二人が目を覚ますと、そこは地下の洞窟で、金銀財宝の山があった。
 発案者の男は、金庫破りを殴って気絶させ、財宝を独り占めにしようとするのだが…」

・「しゃばっけ」
「強盗殺人を犯して、奉行所に捕らえられた男。
 死ぬのなんか全く怖くなく、一日千秋の思いで、仕置きの日を待つ。
 だが、彼の意に反して、なかなかお呼びがかからない。
 ようやくその日が来たかと思いきや、理由のわからぬまま、「嘘、釈放?」(by「空耳アワー」)されてしまう。
 後日、彼は、同じ牢仲間だった宗介と再会するのだが…」
 月宮よしと「妖忍」にも収録されております。

・「あしがる」
「翌朝に切腹を控えた侍。
 侍と言っても、先頃までは足軽の身で、三百石の武士となる代わりに、主君の為、切腹をする破目になったのであった。
 死を目前にして、彼は、誰かの身代わりとなって死ぬことを拒否し、抵抗するのだが…」

 怪奇マンガらしいのは「お通夜の客」「終列車」「宝石」「鍵」ですが、どれも普通の怪奇マンガとは毛色が違います。
 怪奇色云々と言うよりも、どこか人を喰ったところがあるせいではないでしょうか。
 これらの作品よりは、世知辛い「しゃばっけ」「あしがる」の方が怖いです。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2018年9月2日 ページ作成・執筆
2019年8月20日 加筆訂正

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