月宮よしと「怨霊の杯」(220円)



「昔、義理の兄弟があった。
 義弟(妻の弟)、笹塚源之進は讃岐の大名に仕えることとなる。
 重陽の日(九月九日)に出発するにあたり、義兄は彼に家宝の明鏡杯を贈る。
 これは銀(しろがね)つくりで、酒を飲む際、自分の顔が鏡に映ったように見えるという杯(さかずき)であった。
 二人は三年後の今日に再会を約束する。
 月日は流れて三年後、兄は義弟を迎えるために酒肴の準備をして、門で彼を待つ。
 だが、一向に源之進は現れず、兄は深夜になってようやくあきらめる。
 ところが、家に入ると、酒肴の席に源之進が座っていた。
 しかも、妻子と一緒ではなく、源之進は一人だけであった。
 源之進は兄にこの三年間の出来事を語る。
 彼は讃岐の国で仕官し、決められた娘と結婚、女児に恵まれる。
 しかし、妻が出産後に亡くなり、また、仕えていた殿が将軍家から禄の大半を取り上げられたことから免職。
 故郷に帰ることを考えるものの、泥棒に入られ、明鏡杯を盗まれてしまう。
 このままでは兄に合せる顔がないと、彼は約束の日の今日まで杯を捜し続ける。
 そして、杯を見つかったために、約束を守ることができたと言うのだが…」

 小泉八雲の「約束」をベースにした作品です。
 「明鏡杯」も元ネタがあるとは思うのですが、確認できませんでした。
 心当たりのある方はご教示頂けると幸いです。
 ちなみに、読後感はあまり良くないです。

・備考
 ビニールカバー貼り付け、また、一部剥がれ、その部分のカバーに痛み。カバー両袖、欠損。小口研磨。糸綴じあり。前後の見開きと小口に「名古屋マンガ図書館」のスタンプあり。pp122、124、125、後ろの遊び紙に赤色のスタンプのいたずら。最終ページ(奥付)に赤鉛筆での書き込み。後ろの見開きに貸出票の剥がし痕と鉛筆の書き込みあり。

2022年2月13日 ページ作成・執筆

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