月宮よしと「青柳物語」(220円/1964年頃?)



「寺崎友忠と沙枝は、父親同士が親友だったため、許嫁となる。
 二人は親愛の情を深めつつ成長。
 友忠は元服後、武士を目指して、能登の国の大名、畠山義宗に仕える。
 一人前の武士になったら、沙枝を迎えに行くつもりであったが、三年後、彼女が重い病気との知らせが入る。
 急いで故郷に向かい、将来を誓った場所に咲く青柳の枝を折って、彼女の家を訪れる。
 沙枝は瀕死の状態で、友忠に、もう一度生まれ変わると誓い、亡くなる。
 友忠は彼女の言葉を信じ、彼女の生まれ変わりを待とうと考えるが、殿や家の都合で、妻を娶ることとなる。
 子供も生まれ、沙枝の記憶は薄れていくが、妻子を相次いで亡くし、天涯孤独な身となる。
 ある年の冬、友忠は、殿の内密の用向きで、京都の細川政之のもとへ使いにやらされる。
 途中、山中で吹雪にあい、彼は偶然見つけた家で休ませてくれるよう頼む。
 老夫婦は快く彼を家に入れ、もてなしてくれるが、夫婦の娘、青柳は沙枝にそっくりであった。
 しかも、二人きりになった時、彼女は、自分は沙枝の生まれ変わりであることを明かし、前世について話す。
 友忠は、青柳が沙枝の転生であることを確信し、彼女を妻にして、京都へ向かう。
 京都では城中の官舎を与えられ、そこに彼女を隠して、暮らしていたが、ある日、殿の政之の目に触れてしまう。
 これによって、殿の許しなくして結婚していたことがばれ、沙枝は御殿女中に、友忠は謹慎の身となる。
 このままでは離れ離れになると、友忠は意を決して二人で逃げようと、沙枝に手紙を届けようとするのだが…。
 運命に翻弄される、二人の恋の行方は…?」

 ロマンチック、かつ、幻想的な内容で、良作だと思います。
 当時の小島剛夕先生の影響がかなり大きいのではないでしょうか?
 特に、ヒロインは、目元がいつもの「三白眼」でなく、涼しげで、とっても可憐です。
 個人的には、このキャラでいってほしかったなあ〜。

 巻末には、「美兎プロゼミー」という漫画教室の案内(第二期生募集)が載っております。
 これはどれほど、続いたのでありましょうか?
 生徒の能沢貴子さんの「お酒が水になった話」という短編が掲載されております。

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け。後ろの見開きに貸本店の紙貼り付け。

2021年3月12・13日 ページ作成・執筆

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