小島剛夕「幽鬼の城」(220円)
「福村藩が治めることとなった、修復工事中の城。
前の城主、鬼頭日向守(きとうひゅうがのかみ)は謀反を企んだとされ、自害。
それから、二十年後、新しい城主を迎えるために、改築工事が行われる。
その際に、改築工事を引き受けたいと申し込んできたのは、名築城師、黒阿弥であった。
この城を築いたのも黒阿弥であり、改築工事は順調に進む。
ただ一つ解せないのは、不吉な方角とされる鬼門(東北)にやぐらを作ったことであった。
公儀隠密として潜入していた結城錦吾(ゆうき・きんご)は、鬼門やぐらに疑惑の目を向ける。
きっかけは、工事中の石垣が崩れ、城主の息子が亡くなったことであった。
お目付け役の錦吾の兄は、石垣の上に前城主の呪いと妄執の姿を見たと話し、切腹して果てる。
また、錦吾は夜の見回りの際に、鬼門やぐらから異様な声を耳にする。
やぐらの中に入ると、黒阿弥から仕事場に立ち入るなと言われ、次に入れば、命はないと脅される。
その頃から、夜な夜な、妖気に満ちた前城主が、新城主の枕元に立つようになる。
ある夜、錦吾の友人、文吾は夜の見回りの時に鬼門やぐらに入り、錯乱状態に陥る。
錦吾が文吾を見張っていると、彼は鬼門やぐらの中に入っていき、多くの人影と共に、隠し扉の向こうに消える。
隠し扉の向こうからは大勢で工事をしているような物音が聞こえ、どうやらそこが黒阿弥の仕事場らしいのだが…。
鬼門やぐらに秘密とは…?
そして、黒阿弥の目的は一体何なのだろうか…?」
小島剛夕先生の作品だけあって、出来は半端ないです。現在でも充分に観賞に堪えます。(ちょっぴり釈然としないところもありますが…。)
ただ、新しい城主が、悪い事は何一つしてないのに、踏んだり蹴ったりで、可哀そう…。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。本編、目立つシミ多し。前後の遊び紙に落書きあり。
2017年5月5日 ページ作成・執筆