小島剛夕「笛吹川」(200円)
収録作品
・小島剛夕「紅ばらの里」
「紅バラの忍者として恐れられている四郎。
彼は暗殺の際には、バラの花を残していくことで知られていた。
が、彼の住む谷に、おぼろという娘が現われ、彼女と親しくしているうちに、四郎に恋心が芽生える。
しかし、冷酷な忍者にとって、常人のような心を持つことは破滅につながる。
悩む四郎が受けた依頼は、とある姫の暗殺。
しかし、その姫はおぼろにそっくりだった…」
「ドッペルベンガー」を扱った、傑作です。
ストーリーや構成がしっかり練られており、完成度はかなり高いです。
んにしても、暗殺の際に、バラの花をくわえて、シリアスにきめている忍者というのが、何と形容しましょうか…ビミョ〜です。
このマンガを読んで、思い出したマンガに三田京子先生の「女執」がありますが、あちらの主人公も、花をくわえて包丁を振り回しておりました。
ただ、「女執」の方は目が完全にイッちゃっていたので、較べると、失礼にあたるかもしれませんね。
・いばら美喜「舌切り雀」
「三年前に、ある一門に兄を殺された雀小平治という侍。
彼は兄の仇討ちのために一門の人間を次々に血祭りにあげる。
しかも、皆、鋭い剣さばきで舌を切り取られていた。
というのも、雀小平治の兄は宝のありかを聞き出すために拷問を受け、それに耐えかね舌を噛み切って死んだためだった。
そこで、一門を総括する老婆と、最後に残った青年は秘策を用いる…」
仇討ちを題材にした時代劇に、昔話の「舌切り雀」をむりやりに絡めて、ギクシャクした話になっております。
落ちもイマイチで、残念…。
・小島剛夕「笛吹川」
「甲斐の国(山梨県)。
ある領国の若き殿。
彼は、夜更けに聞こえる笛の音に惹かれ、河原に赴く。
笛を吹いていたのは、笛師の娘、玉種(たまぐさ)だった。
彼は、玉種の笛を褒め、自分の側に置きたいと話す。
数日後、新城が完成する。
祈祷師が殿に人柱のことを言い出すと、殿は迷信と断言し、人柱を許さない。
そこで、祈祷師はひそかにいけにえを捧げることにするが、目をつけられたのは玉種だった。
一年後、天守閣の辺りで夜な夜な女の泣き声が聞こえるという噂が立つ…」
・備考
I文庫仕様(カバー裏に新聞紙等による補修。表紙を本体から取り外し、本体を何らかの厚紙で覆っている。)カバー痛み。pp95・96の上部にコマにわずかにかかる欠損あり。
平成26年12月18・19日 ページ作成・執筆