「怪談・46」(170円)



 収録作品

・いばら美喜「パピロの壷」
「アフリカの奥地から帰国してきた教授を狙う、ギャングの一味。
 その教授の持っている、パピロの壷は、二億円もの価値のあるものだという。
 二億円という金額に目がくらみ、ギャング達は壺をめぐって争う。
 壷の中身は「接着剤」らしいのだが…?」
 「怪談欲の皮」(貸本/ひばり書房)にも収録されております。

・小島剛夕「雪の花」
「陸奥(現在の青森県)の国。
 春を間近にしながらも、季節外れの吹雪に会い、遭難してしまった青年。
 気がつくと、雪と氷に閉ざされた館の座敷に、彼は寝かされていた。
 そこには、美しい姫がおり、かいがいしく青年の世話をしてくれる。
 姫の名や素性を聞いても、何か事情があるのか、決して答えようとはしない。
 この不思議な館で、姫と青年は互いに愛し始める。
 が、凍りついた木の氷が溶け、木枝が芽吹き始め、春が本格的に訪れる頃、突如として、姫は青年のもとから消え去る。
 遠ざかる姫を追い、捜し求めていた時に、彼は友人や村人に発見される。
 青年が奇跡的に生きていた事を喜ぶ友人達だが、青年は姫のことが忘れられないのだった…」

・落合二郎「父さんを許して」
「ある社長の令嬢である秋江。
 村に巡業に来た、芝居一座の座長である小夏とひょんなことから懇意になるが、二人は驚くほど、似ていた。
 それも道理で、秋江と小夏は実は異母姉妹。
 今は社長の父親は、過去に妻子を捨てていたが、その娘が小夏だったのだ。(妻は失踪した夫を探しに東京に来て、交通事故死。)
 小夏が自分を探りに来たのではないかと疑心暗鬼に駆られた父親は、一座に忍び込み、小夏を絞殺しようとするが…」

・北風一平「うろうろきょろきょろ」
「訳あって、麻薬の売上金を持って、逃走する青年。
 青年に追っ手のギャングの手が迫るが、間一髪というところで、助けられる。
 助けたのは、ビルの谷間の一軒家に一人で住む、若い女性だった。
 その一軒家にも追っ手がやってくるが、女性は不思議な力を持っていた。
 この女性の正体とは…?」
 一般的には、小島剛夕先生の作品が、この本のベストとなるんでしょうが、個人的には、この作品が一番好きです。
 ネタばれとなりますが、「生前、頭が変だった女性が死んで幽霊となっても、頭が変」というところがポイント。
 幽霊の出てくる話と言えば、自分の死体を見つけて欲しいとか、殺した相手に復讐するという話が大半を占めますが、この女性の幽霊は「頭が変」なので、あまりに予測不可能な言動をとるのが、意外に新鮮です。
 そして、一度は青年を助けたものの、青年がその場しのぎに言った嘘が結局、身の破滅につながるというストーリー。
 決して計算されたわけでなく、描いてるうちにこんな感じになったのでしょうが、下手な「理屈っぽさ」がないのが何とも見事。
 マンガのテクニックというものが確立されてしまった今現在においては、斯様なマンガは落第点なんでしょうね…。
 最後に、「うろうろきょろきょろ」を「URO URO DANGER」と訳すセンスに脱帽です。

・備考
 カバー欠。ビニールカバーあり。つじ糸あり。投稿ページ(p139)の絵に鉛筆で丸をしてある。

2014年9月15〜17日 ページ作成・執筆
2019年11月14日 加筆訂正

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