「怪談・54」(170円)
収録作品
・浜慎二「ひとり静か」
「宝石強盗を働いた二人組。
数億はするという宝石を持ちながら、殺人を犯してしまったために、金に換えることもできない。
その時、ひらめいたのが、人口冬眠を研究している老学者のことであった。
老学者は近い将来、核戦争が起きるから、日本国民は冬眠すべきと主張して、キチガイ扱いされていたのであった。
二人組は、老学者を脅して、三人一緒に人工冬眠に入るのだが…」
浜慎二「SF怪奇入門」(ひばり書房黒枠)にて再録されております。
・小島剛夕「不忍池(しのばずのいけ)」
「夏。毎朝、不忍池に通ってくる乙女。
開く蓮の花の音を聞きつつ、彼女の友達は池に一匹でいる白い水鳥のみ。
彼女は医学所に通う青年を知り合い、彼のことが心から離れなくなる。
彼女は、因業な金貸しとして忌み嫌われている男の養女であった。
金貸しの男は彼女の清らかさに心を打たれ、貧しい両親の前に大金を積んで、養女にしたのである。
が、彼女にしてみれば、所詮、駕籠の中の小鳥。
そして、彼女の青年への思慕が金貸しの男に露見した時、彼女は飛び立つ決心をするが…」
「オール怪談・80」(貸本/ひばり書房)にて再録。粗筋紹介のカラーページをご覧になりたい方はそちらでどうぞ。
・北風三平「ある遭難」
「登山をする大学生の二人組。
彼らは、とあるチンピラが道標を捨ててしまったことがもとで、遭難してしまう。
吹雪の中、彼らは死を待つ身となってしまう。
その頃、彼らが遭難するきっかけをつくったチンピラは原因不明の寒気を感じていた。
いくら暖まろうとしても、チンピラはどんどん凍えていく…」
・落合二郎&サツキ貫太「守護神」
「出入りの罪で投獄されていた、サイレントの秀(ひで)。
彼は出所して、組を訪れる。
が、組長が変な仏像を拝み出して以来、組は落ちぶれる一方だった…」
唐沢俊一・編『カルトホラー漫画秘宝館 かえるの巻』に復刻されております。
原本の大きなコマで読むと、復刻版のちまちましたコマで読むよりも、遥かに味があります。
とは言うものの、読めるだけでも御の字でありましょう。
毀誉褒貶の激しい唐沢俊一氏でありますが、こういう作品を見出して、復刻させたという事実には、素直に頭が下がります。
・備考
状態非常に悪し。本体が表紙から外れ、バラけている。遊び紙に赤のサインペン(?)による落書きあり。カバー貼り付け。つじ穴あり。背表紙上部小破れ。pp72・73(小島作品)に何かが張り付いて、破れた箇所あり。
2014年10月30日 ページ作成・執筆
2016年8月1筆訂正