「怪談・76」(1965年頃/220円)



 収録作品

・浜慎二「幽霊二人」
 サキの名編「開いた窓」と全く一緒なので、粗筋紹介は割愛します。
 「開いた窓」を漫画化した作品を集めて、本を一冊作ったら、面白いかも。

・「(作者コーナー)浜慎二 怪談思いつくままらくがき控」
 浜慎二先生が「怪談」シリーズについて語るコミック・エッセイ。
 後の号でも再録されておりますが、約3ページ削除されておりますので、完全版はここでしか読めないかも。

・小島剛夕「狐ッ子と裸虫」
「松五郎は大井川の川越人足。
 彼は背中に般若の刺青のある、怖いもの知らずの暴れん坊であった。
 ある日、人足仲間の常公が幽霊を見たというので話を聞きに行く。
 昨夜、彼は酒を飲んだ帰り、六蔵稲荷の前で赤ん坊を抱いた女の幽霊らしきものにあったと話す。
 他の人足たちにせがまれ、松五郎は確かめることとなるが、本当は幽霊やお化けは大の苦手であった。
 その夜、おっかなびっくりで松五郎が六蔵稲荷に行くと、祠の中で赤ん坊が泣いている。
 狐が化けたものと思い、証拠としてこの子を仲間のもとに連れて帰るが、誰ももらってはくれない。
 仕方なく彼はこの子を育てるが、そのうちに、愛着がわいてくる。
 そんなある日、二人の侍が彼の家を訪れ…」

・楳図かずお「ばけもの」
「山戸医大実験所。
 ここでは犬を使った残酷な実験が日々行われていた。
 ある日、所員の畑が実験用の犬を取りに行くと、廊下で奇怪な怪物に襲われる。
 実験室に逃げ込むが、怪物は影も形もなかった。
 他の所員と二人で犬を運び、実験を再開した時、実験室に先程の怪物が現れる。
 怪物は所員数名を噛み殺し、またもや姿を消す。
 畑はどこかであの怪物を見たように思うのだが…」

・サツキ貫太「柩をあけるな」
「昭和十九年(1944年)八月、フィリピンのマニラ市。
 黒木兵長、左一等兵、朝日奈伍長、草刈少尉は第十四軍刑務所の囚人兵。
 黒木は中隊長への暴力、左は難民に食料をあげるために倉庫破り、朝日奈は無断で原住民の子供を飛行機に乗せた罪、草刈は反戦主義者とそれぞれ問題を起こしていた。
 彼らは大木憲兵中尉の指揮のもと、特殊作戦に従事することとなる。
 この作戦は過去、米軍が撤退する時に隠した武器弾薬をゲリラよりも先に手に入れる事であった。
 大木はゲリラの扮装をし、一行は密林に分け入る。
 苦難の日々は続き、ある夜、教会に泊まるのだが…」

 「驚異!豪華大編成」と表紙に描いてあり、小島剛夕先生、楳図かずお先生、浜慎二先生と当時のトップ作家による作品が収録されております。
 ただ、内容的には、浜作品はサキ「開いた窓」そのまんまだし、小島作品は怪奇というにはかなり苦しいです(どちらかと言うと、人情もの)。
 でも、楳図先生の傑作「ばけもの」が読めるのは非常に大きい!!
 菊地秀行氏による名アンソロジー「『貸本怪談まんが」傑作選」に収録されておりますので、未読の方は是非チェックしてみてください。
 あと、サツキ貫太先生「柩をあけるな」は太平洋戦争ものです。
 サツキ先生はちまちま戦争をテーマにした作品を描いておりますが、何をもとにされていたのでしょうか?
 気になってます。(まさかとは思いますが、戦争経験があったとか…。)

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け。背表紙の上下、前後の見開きのノドに紙テープで補強。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2023年7月2・4日 ページ作成・執筆

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