「怪談・80」(1965年頃/220円)
収録作品
・池川伸治「風鈴」
「兄と二人の妹の三人兄妹。
一番下の妹は「ちょっと気が変なかわいそうな子」。
長女は、その妹が原因で、恋人と破局を迎えることを恐れる。
妹がいなければ幸せになれると考えた姉はある計画を思いつく。
翌日から、妹が食事の間、姉は妹の耳元で風鈴を鳴らし続けるのだった…」
完成度は別として、心に焼き付いて、忘れられない作品であります。
個人的には「奇妙な味」を持つ逸品と考えております。
ですが、冷静に読むと、やっぱりムチャクチャな話かつ不適切な描写も多数ありまして、一般には受け入れられない内容と言えるでしょう。
ただ、私としては何度読んでも、飽きが来ない、不思議な作品なのであります。
池川伸一「犬神のたたり」(ひばり書房黒枠)にて、加筆されて、再掲載されております。
・小島剛夕「蛇眼」
「道場主である父親と婚約者の仇を討つべく、旅をする娘。
彼女の宿敵は、薄墨主水(うすずみもんど)。
彼の目を見た者は何もできず、ただ斬られていったのだった。
旅の途中、急な差込み(腹痛)に襲われた娘を、薄墨主水が助けたことで、二人は接近する。
そして、娘に薄墨主水は自分の秘密について語る。
五年前、復讐欲に憑り付かれた彼は、蛇に見入られて居すくむ蛙を見て、「蛇」の魔力を得ようとする。
蛇の多い刑場に毎夜通ったが、とある夜、髑髏が彼を見据えるという怪異と遭遇。
目をそらさずに対決したところ、髑髏が転がり、そこには五尺(約150センチ)のマムシが死んでいた。
それから、彼の目には蛇の魔力が宿ったのだった。
娘は何とかしてその呪縛から解放しようとする…」
傑作です。
情緒的な要素が少なく、純粋な怪奇ものです。
かなり気持ち悪い作品であります。
・岩井しげお「根っ子」
「新進作家の青年。
彼は、没落しているが、とある旧家の出身。
彼の屋敷にある老木には奇妙な言い伝えがあった。
その家の人間が一大困難に遭った時、その木の根っ子に願をかければ、その願いは叶えられるという。
その代わり、願をかけた人間は死ぬ時に身も心も根っ子に吸い取られるという。
青年は家も抵当に入れ、作品に打ち込むが、スランプに陥ってしまう。
瀬戸際に立った青年は根っ子に作品が○川賞に受かるよう願う…」
・サツキ貫太「妖婆」
「とある孤児院で起こった、男の子の脱走事件。
男子と仲よしだった女子が言うには、逢った人全てが不幸になるという妖婆が男子に東京にお母さんがいると言ったとのこと。
そして、その妖婆は絵本の中の人物だった。
一方、東京では独り途方に暮れている男の子と、画家が偶然に出会う。
その画家は絵本の妖婆を描いた人物だった…」
・備考
カバー痛みあり。つじ糸あり。遊び紙に落書きあり。前半部、上部(コマにはかからず)にシミあり。
平成26年10月31日 ページ作成・執筆