「怪談・82」(1965年頃/220円)
収録作品
・浜慎二「計画通り」
「とあるアパート。
ずっと憎んでいた隣人を絞殺した青年。
彼はそのために一年かけて、アパートのつくりや隣人のことを調べ上げ、計画を練り上げた。
酔っ払って部屋に帰った隣人を絞め殺し、自分の部屋に運んで、畳の下に埋める…青年の計画通りに進む。
しかし、彼の計画に一つだけ誤算があった。
それは、隣人を絞殺して、自分の部屋に運ぶ際に、死にきってない隣人の心臓の鼓動が耳についたこと。
完全犯罪を成し遂げたものの、青年は寝ても覚めても、その心臓の音に悩まされることになる…」
・小島剛夕「夜の川霧」
「信州の山奥にある霧降村(きりふりむら)。ここを流れる音無川(ねぶがわ)のため、季節になると、朝な夕なに霧が立ち上るのだった。
この霧降村に、十五歳になった舞姫の移り住む、新城の夕霧城があった。
舞姫が城に移る前日、舞姫は庭を散策するうちに、洞穴を見つける。
抜け道と思い、洞穴を抜けると、そこは音無川の河原。
舞姫が金雀児(えにしだ)の香に魅せられていると、霧の中から眉目秀麗な若小姓が現われ、二人は楽しい一時を過ごす。
城に戻り、舞姫が婆やにこの話をすると、それは「夜霧の精」であり、若い娘は彼の美しさに気を狂わされるとの話。
その日以来、舞姫は人が変わったように物思いに耽るようになった。
ところが、城に一大事が持ち上がる。
隣国の城主が、舞姫を一人息子の嫁に要求。隣国の城主の息子はライ病を患っており、二目と見られぬ姿であった。
この地方を戦乱に巻き込まないために、舞姫は断腸の思いで、嫁ぐ決意をする。
そして、最後に一度、「夜霧の精」である若衆に会おうとするのだった…」
いばら美喜先生の『忍法血まつり』にもライ病を病んだ、城主の息子が出てきますが、この作品と似たような格好をしております。
いばら先生も、小島先生も、何を参照にされたのでしょうか?
・慎胴秀章「恋する勿れ」
「とある田舎のホテル。
そこに禿で長い髭を生やした親父と、美しい娘が二人、泊まりに来る。
しかし、台帳のサインは明らかに偽名だし、親父は部屋に近づかないよう厳命する。
怪しいと思ったホテルの従業員は二人の正体を探ろうとするが、そのうちの一人が娘に恋をしてしまう。
親父を出し抜いて、その恋が実った時…」
・池川伸治「黄色い家族」(1965年8月1日完成らしい)
「天候不順な、変な一日。
家に帰った奇理子は異変に気付く。
母親が、父親が、妹が…皆、おかしい…。
台所では、母親が人間の腕をまな板の上で切っている。
自分の部屋に閉じこもる奇理子だったが…」
池川伸治先生お得意の、ひたすらストレートな物語。
冒頭で「ノイローゼ?? いいえ、ちがいます……」と主人公に言わせておりますが、結末を見たら、唖然…です。
・備考
状態悪し。カバー裏が欠如かつ痛みあり。カバー貼り付け。ホッチキスによる綴じあり。裏の見返しに貸出票貼り付け。
平成26年11月10・11日 ページ作成・執筆