「怪談・84」(220円)



 収録作品

・「顔」
「映画スターを夢見ながら、一向に芽の出ない無名俳優、赤井哲也。
 せめてスターらしい格好をしようと、長年の友人、平田のもとを訪れる。
 医学者の卵の平田は、仕事の邪魔だと、借金の依頼をそっけなく断る。
 逆上した新井哲也は平田を絞殺するが、物取りの犯行ということになる。
 その後、新井哲也はプロデューサーに見出され、宍戸錠二と改名、スターへの道を邁進する。
 が、自動車事故を起こし、現代医学では手に負えないほどの大怪我を顔に負う。
 プロデューサー達が頭を抱える中、顔を元通りに治せると言う医師が現れるのだが…」
 浜慎二「SF入門」(ひばり書房黒枠)に再録されておりますが、「宍戸錠二」が「赤木哲也」に変更されております。
 やはり、問題ありと判断されたのでしょう…。

・小島剛夕「美しき歪み」
「茜は、好きな人もできて、美しくなりたいお年頃。
 しかし、彼女の母は、茜が鏡を手に入れることをよしとしない。
 ある日、母親が外出した際、茜は母親が隠していた鏡で自分を見るのだが…。
 見た者を醜く歪める鏡にまつわる過去とは…?」



・関すすむ「牝とかげ」(「湖水の乙女」より)
「夫の借金のため、仕事に出た際に、殺人を犯し、終身刑となった、小川すみれ。
 彼女は発作が起きると、凶暴なとかげ女と化す病気があった。(「特発性発疹症」とのことです。)
 夫と離縁されたことを手紙で知った、すみれは、発作を起こして、看守と医者を惨殺し、脱獄。
 シャバで生き別れた娘と再会するのだが、警察による非常線が彼女を追い詰める…」
 徹頭徹尾、メチャクチャな話です。
 「発作を起こすと、とけげ女になる」というのも理解不能ですが、とかげ女が夫への復讐に向かうラスト、とかげ女のアップと共に「皆さま この話の後を自分で続けてみたらいかが?」と投げっぱなしな終わり方。
 相変わらず、テキト〜な内容とは言え、闇雲に突進むスピード感だけは他に類を見ないものです。
 俺は、こういうマンガが読みたかったんだよ!!

・池川伸治「突風」
「女には全く興味を感じない青年、山田五郎。
 ある日、町を歩いていると、彼は突風に見舞われる。
 我に返った時、彼は、ある女性に一目惚れしてしまう。
 夢中になって、彼は彼女の後をつけるのだが…」
 主人公が完全にパラノイアのストーカーです。
 あの時代にここまでストーカー気質を活写したのは凄いのではないでしょうか?
 主人公の気持ち悪ささえ気にならなければ、なかなか面白いと思います。

・備考
 状態悪し。ビニールカバー貼り付け、また、それによる歪みあり。糸綴じあり。猛烈な水濡れ痕。pp9・10にコマに若干かかる欠損あり。pp69〜72、pp75〜82、ひどいシミあり。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。

2019年2月26日 ページ作成・執筆

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