「怪談・85」(220円)



 収録作品

・浜慎二「猫ぎらい」
「猫嫌いが高じて、目にしただけでブチ殺さずにいられない青年。
 彼の猫嫌いは、彼の弟が猫のために死んだと思い込んでいることが原因だった。
 また、彼は、近所の洋服屋のショーウィンドーに飾られている少年のマネキンを弟と信じ、毎日、朝から晩まで眺めて過ごしていた。
 ある日、少年のマネキンが来ている服が、シャムネコの毛皮から作られていることを知り、ショックを受ける。
 その夜、弟が猫に殺される夢を見た青年は、洋服屋のショーウィンドーからマネキンを盗み出す。
 だが、彼が逃亡に疲れ、眠っている間に、マネキンは男児の死体へと変わる…」
 「怪談全集」(ひばり書房黒枠)に再録されております。
 いまいち、よくわからない話です。

・小島剛夕「夜叉姫峠」
「人呼び峠には、夜叉姫が住むと言われていた。
 夜叉姫は吹雪の中、峠を越えようとする旅人たちに呼びかけては、屋敷で歓待すると誘う。
 しかし、彼女に誘われた旅人達はことごとく命を落としてしまうのであった。
 その人呼び峠の麓には、小さな木賃宿があった。
 吹雪のため、足止めされた旅人達は皆、事情のある者ばかり。
 その中のイケメンの侍は、宿の娘を誘惑し、彼女の案内で峠を越えようともくろむ。
 皆とは距離を置いていた侍は二人の後を追って、人呼び峠へと向かうのだが…」
 傑作だと思います。吹雪の雪山の描写なんか、臨場感たっぷりです。
 ただ、最後に思いっきり差別用語が使われておりますが…。

・岩井しげお「夜歩く」
「日本政界の黒幕、的場大作は、由緒ある家柄の屋敷に移り住む。
 屋敷の庭には大木があり、その根っこは人が横たわっているような形になっていた。
 妻が気味悪がったため、大作はその根の部分を切り取らせ、物置に片付けさせる。
 その後は安楽に暮らしていた大作であったが、ある日、自身の関わる汚職事件が明るみに出てしまう。
 そして、彼のもとに、事件のカギを握る男が逃げ込んでくる。
 男は匿ってくれなければ、全てをばらすと脅迫。
 そこで、大作は男に睡眠薬を飲ませ、物置に放置してあった根っこの尖った部分に男を倒して、殺害。
 男の死は過失扱いとなるが、その夜…」


・小島剛夕「おぼろ人形」
「天正十年六月、織田信長は備中征伐の総指揮所を京都本能寺に置く。
 信長は、伊賀征伐以来、伊賀忍者の仕業と思しき幻影に毎夜、悩まされていた。
 ここ本能寺でも厳しい警戒にもかかわらず、愛染明王の幻影が現れ、信長に死を予告する。
 そして、六月三日、本能寺を明智光秀率いる一軍が急襲する。
 信長の命を狙う伊賀忍者の正体とは…?…」

・備考
 ビニカバ貼り付け、また、それによる本体の歪み。糸とじあり。pp5・6、欠損(浜作品/これさえなかったら…)。後ろの遊び紙に鉛筆の書き込みあり。

2018年5月23・24日 執筆・ページ作成

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