「怪談・86」(1966年?/220円)
収録作品
・浜慎二「ああ!人間」
「肉体労働やスポーツで、人造人間が幅をきかせる近未来。
人造人間のオーナーである金平は、自分の人造人間をボクシングのチャンピオンにすることに必死。
そこで、闇医者に人間の脳を人造人間ボクサーに移植する。
効果はてき面、連戦連勝となるが…」
「ミステリー・ゾーン」で、人造人間のボクサーと人間のボクサーが戦う話(未見)があったようですが、それにちと「フランケンシュタイン」をミックスした感じです。
でも、そんな小賢しいことをくどくど書かなくても、よく出来た作品であります。
浜慎二「SF怪奇入門」(ひばり書房黒枠)にて再録。
・小島剛夕「嵯峨野しぐれ」
「文久二年(1862年)、公武合体(朝廷と幕府が一致協力して国事にあたること)の名の下に、孝明天皇の妹君、和宮親子内親王(かずのみやちかこないしんのう)は、十四代将軍家茂と嫁ぐこととなった。
政略結婚の犠牲となり嘆く和宮だが、とある日、京の嵯峨野にある野々宮(伊勢神宮に斎宮(いつきのみや)(注1)として仕える内親王の潔斎所)に立ち寄った時、そこで、和宮と同じく、自分の恋をあきらめなければならなかった内親王たちの想いを「見る」のだった…」
とある傾向がある方には怒りを買いそうですが、私、日本史に疎い、と言うことは当然、天皇家に関する知識も微々たるものであります。
この作品の「内容」はわかりますが、細かいところの理解はさっぱりなのであります。
「源氏物語」まで引用しておりますが、「馬の耳に念仏 犬に論語」もいいところ。
何とか粗筋をまとめてみましたが、尊い御方に対して、どういう「言葉」を使ったらいいかもわかりません。無礼千万な表現があっても、大目に見ていただけると幸いです。
・戸塚悠子「残されたキャンバス」
「破格の値段で新居を購入した兄妹。
さっそく手入れをするが、家には多くの、若い女性を描いたキャンバスと、開かずの扉があった。
住んでまもなくして、妹は、前の住人が夜中に不気味な声を聞いて、すぐに引越したという話を聞く。
その家で過去に起こった事件とは…?」
・関すすむ「夢去りぬ」
「デートに車で向かう途中で、ルンルン気分(古い…)な青年。
青年のよそ見が原因で、事故を起こしてしまう。
青年が気がつくと、その横に倒れている女の子。
女の子は死んでしまい、罪の発覚を恐れた青年は、少女の死体を置き去りにするが、少女はいつまでも青年につきまとう…」
冒頭が「ユキコのロック」!!
車を運転している最中に、後を向いてるから、事故るんだよ!!
・注1
ここでは「斎皇女(いつきのひめみこ)」の意味で使われております。
「伊勢大神宮・賀茂神社などに、天皇の名代として奉仕する未婚の内親王または女王。天皇一代ごとに改定するのが原則。斎宮。斎院。」(「岩波古語辞典・補訂版」より)
・備考
ビニカバ貼り付け。糸とじあり。小口研磨により、一回りサイズ小さし。37ページ上部コマ外に鉛筆での落書き(JUN)を消した跡あり。
平成26年7月9・11日 執筆・ページ作成