「怪談・91」(220円)



 収録作品

・いばら美喜「赤ん坊」
「安いアパートを探して、不動産屋巡りをする若夫婦。
 若夫婦の前に、老年の紳士が現れ、自分の家を借りてくれる人を探していると言う。
 その家に行くと、かなりの豪邸。しかも、家賃は無料。
 しかし、それには条件があり、それは赤ん坊を育てるということ。
 そして、その赤ん坊はその紳士だと言う。
 彼は、とある峠の頂上で、若返りの効能のある泉を発見したのだった…」
「怪談・48」からの再録。タイトル画像を御覧になりたい方はそちらのページをどうぞ。

・小島剛夕「めくら影」
「若くして琵琶の名手として知られる忍海(おくみ)の彦次郎は、時の上皇に奉奏に訪れた帰途、京の洛外、桂川のほとりの荒野に迷い込む。
 そこで、彼はみごとな琵琶の音を聞き、その音に導かれると、荒野にふさわしからぬ屋敷があった。
 屋敷で琵琶を弾くのは、美しき女性。
 彼女は心から愛した恋人を亡くし、浮世を捨てた女性だった。そして、彼女が弾いていたのは、その恋人の陰陽師が遺した曲だと言う。
 彦次郎は女性に請われ、その曲を習いに夜な夜な女性のもとを訪れる。
 が、彦次郎の師匠である、盲目の葛篭彦阿弥(つずらひこあや)は彦次郎の琵琶の音に異変を感じ取るのだった…」
 これまた「怪談・48」からの再録。タイトル画像を御覧になりたい方はそちらのページをどうぞ。

・山本進「凍れる家」
「スケートに出かけたサユリは氷の中に不気味な男の姿を見る。
 帰宅後、父親にそのことを話すが、父親は何かに思い当たる様子。
 実際、父親は自分の会社の社長を(文字通り)氷づけにして殺害していたのだった。(画像を参照のこと)
 死体を始末しようと、父親は社長の死体を人気のない山の中に埋める。
 その翌日、サユリが花壇づくりをしていると、土の中から不気味な男の姿がまた現れるが、それは大きな石だった。
 父親は、サユリが自分の犯行を見ていて、あてつけていると考える…」

・古賀新一「ママが怖い」
「縁日の夜店にて、薄気味悪い男から、片目の猫の人形を半ば強引に買わされた和枝。
 彼女はそれを棚に飾っておくが、その夜、三年前に亡くなった母親が彼女の枕もとに現われる。
 母親は片目に眼帯を当てていたが、確かに和枝の母親であった。
 母親は彼女を迎えに来たと言い、崖下にある古びた小屋に案内する。
 が、母親の様子はどうもおかしい。母親の正体とは…?」
 この作品で謎なのは、一番最初の絵の一部が、(恐らく)浜慎二先生の筆であることです。(バナナの叩き売りの描写)
 浜慎二先生がアシスタントをしたのかとも思いましたが、そこの部分だけというのが不自然です。
 というわけで、理由は全くわかりません。

 ちなみに、この本の前半分は「怪談・48」とほとんど同じです。(作品だけでなく、扉絵等も一緒です。)
 80年代にヒバリ・ヒット・コミックで花開く「タイトルを変えて、同じ作品を出版」という、せこい商法の先駆けなのでありましょうか?
 ただ、ヒバリ・ヒット・コミック時より阿漕(あこぎ)でなく、この本には、古賀新一先生の「ママが怖い」があるので良しとしましょう。

・備考
 カバー若干痛み。本の後に貸出し紙の剥がし痕あり。経年の汚れやシミはあれど、まあまあの状態。

平成26年11月17日 ページ作成・執筆

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