「怪談・97」(220円)
収録作品
・浜慎二「過去の男」
「終戦後から毎年、6月4日に、大島の家に、誰かはわからぬが訪ねて、絵を置いていく。
絵に興味のなかった大島は見向きもしなかったが、ある時、絵をまとめて見てみる。
すると、最初は何を意味しているかわからなかった絵が変化していき、大島の戦争中の犯罪を暴くのだった…」
・小島剛夕「黒髪ざんげ」
「平吉は、お屋敷のお嬢さんの専属の髪結い師。
お嬢が嫁入りすることになり、二人はお互いの想いに気づく。
が、身分の壁は如何ともしがたく、半狂乱になった平吉は病みつく。
最期に、平吉が願ったことは、お嬢の髪を結うことだった…」
・池川伸治「井戸」
「とある、幸せな一家に変事が頻発する。
どうも、それには屋敷の片隅にある井戸と、婆やが関係しているらしいのだが…
一見、幸せそうな家族の秘密とは…?」
元ネタは、故・星新一先生の「おーい、でてこーい」だと思われます。
それを殺人方法に使おうというのですから、さすがは池川伸治先生であります。
しかも、婆やには「ぶっ飛んだ」最期が待ち受けております。
ちなみに、同じテーマで描かれたものに、曙出版・文華書房から出た「月夜第11号 血花」収録の「古井戸」があります。
コンパクトかつブラック・ユーモアなテイストに溢れた好短編でして、個人的に出来は「古井戸」の方がいいと思います。
・備考
糸綴じあり。
平成26年6月18・20日 ページ作成・執筆