「怪談 増刊号」(300円)
収録作品
・浜慎二「闇の中の眼」
「実業家の大崎五郎八は、海道剛というボクサーのスポンサー。
大崎は、以前、交通事故に遭った時に、友人の小西を病院を助けず、彼の目をボクサーの目に移植したという過去があった。
その大崎の前に、死四度という画家から個展の招待状が届く。
その個展では、巨人が目を取られるという絵が展示してあった…」
「オール怪談・33」(ひばり書房)からの再録。
・小島剛夕「あすなろ物語」
「奥深い越後(新潟県)の山里。
貧しい木こりの倅、吉太郎は、大庄屋のお嬢様である、さとと小さい頃から愛情を育んできた。
しかし、やがて立ちはだかる身分の壁。
吉太郎は丘の上に一本立つ、あすなろの木に自分の境遇を重ねあわせ、さともまたこの木の哀しさを慕うのだった。
が、庄屋のお嬢様に手を出したかどで、吉太郎は邸から追い出され、「あすなろ」から「檜(ひのき)」となるために都に向かう。
数年後、都で失敗し、尾羽打ち枯らした吉太郎が故郷へと戻ってくる。
しかし、数年前の大洪水で邸は跡形もなくなっていた。
さとを一目でも見たさに、あすなろの木のもとに向かった吉太郎の前にさとが現われる…」
・江波譲二「ある目撃者」
「新宿で起きた宝石商の強盗殺人事件。
トップ屋の男はいざり(足萎え)の乞食の老人から犯人の特徴を聞き出す。
その特徴にそっくりの男を見つけ、尾行。逃げ出したところを、格闘の末、ようやく捕まえる。
しかし、その男は強盗殺人犯人などではなく、密輸団を裏切り、抜け出してきた元・メンバーだった。
トップ屋とその男は、裏切り者の命を狙う密輸団と対決することとなる…」
・古谷あきら「首のない屍体」
「夜の墓地で死体を掘り出す、せむし男。
死体の青年はせむし男によって生き返らされ、首なし死体を川に捨てる役目をする。
せむし男は自分のせむしを治すため、人をさらっては首を切り取るマッド・ドクターだった。(何故かは説明なし)
しかし、このことに青年が気がついた時…」
恐ろしくテキト〜な話。
こう言っては、元も子もありませんが、古賀新一先生の劣化コピーみたいな作品です。
・福田三省「生きてる目」
「何の前触れもなく、風船がしぼむように肉体が萎縮するミイラ病に若い女性が何人も犠牲となる。
新聞記者の青年は、人間のエネルギーについて研究する老博士に関心を抱く。
老博士は死んだはずの孫娘の治療に専念していた。
そして、その孫娘はまさしくミイラのような身体をしていたのだった…」
「オール怪談」(ひばり書房黒枠)にて再録。
・古賀新一「奇妙な母子」
「近所で可愛いと評判の少女。
少女は孤児、しかも、整形医師の青年と共に暮らしていたため、整形疑惑を受けていた。
ある日、少女は自分の母親にそっくりの美しい女性と出会う。
その女性を母と慕うものの、その女性は自分の子供はもっと醜かったと言う。
少女は醜くなろうとするが、女性は自分の子供は奇○児だから、少女が自分の子供とは信じられないと言う。
そして、少女のとった行動は…」
物凄くイヤなマンガです。後味の悪さもかなりのもの。
後に、児童虐待を描いた(個人的に)史上最凶のマンガ「餓鬼」を描いただけのことはあります。
「オール怪談」(ひばり書房黒枠)にて、「みにくい子」というストレートなタイトルに変えて、再録。
・浜慎二(文・絵)「映画のページ」
浜慎二先生がヤコペッティ監督「さらばアフリカ」(注1)について熱く語っております。
(ただ、ヤコペッティの映画が扇情的かつやらせのモンド映画ということは現在では明らかになっております。)
ちなみに、浜慎二先生は洋画(特に、ジョン・フォード)が大好きだそうで、風景を観るだけでも楽しいとのことです。
扉絵と浜慎二先生の作品は「オール怪談・33」からの再録。
・注1
私も「ショック残酷大百科」(秋田書店の大百科シリーズ/昭和57年9月20日初版・平成3年5月10日5刷発行)を読んで、その映画に思いを馳せることにいたしましょう。
・備考
状態悪し。カバー痛みかつ破れ(背表紙の上半分欠)。糸綴じあり。pp5・6、下部にコマにかかる欠損。pp207・208に大きな裂け。pp221〜236(古賀作品)、下部に水濡れの痕あり。シミ、小切れ、多数あり。
平成26年11月22日 ページ作成・執筆