小島剛夕「怪談赤い雲の峰」(150円)



「兄の後継ぎとして、江戸から甲府にやって来た織部京之助。
 彼の兄、丞馬は公儀絵図面役(測量技師)として地図の作成に携わっていたが、測量中に行方不明となる。
 丞馬が消息を絶ったのは、法性火(ほっしょうび)の峰の麓にある根帯の里らしいが、京之助は兄の行方を探ることを固く禁じられる。
 また、兄の死に思いを巡らせる彼の前に、兄の亡霊が現れ、峰に憧れないよう告げる。
 兄のことともう一つ、京之助の心を捉えて離さないのが、甲府に来る途中に出会った乙女のことであった。
 彼女とは川を挟んで対面しただけであったが、その時に川の流れで拾った形見人形(この人形を与えられた男性は夫となる)を見る度に、彼は乙女に想いを馳せる。
 ある日、いで湯の里に出かけた際に、京之助は乙女と再会を果たす。
 彼女の名は明香(さやか)といい、実は、武田信玄の金山の警護衆の子孫、根帯衆の頭領の末裔であった。
 彼女は肺病の療養のために、里に降りていたが、明日、また根帯の里に戻らねばならない。
 そこで、明香は京之助に、今度、里に降りた時には、川に形見人形を流して、教えることを約束する。
 京之助は毎日、川に様子を見に行くが、その人形を手に入れたのは、丞馬の友人を名乗る黒塚弥十郎であった。
 彼はこの人形をだしに使い、明香に法性火の峰を案内を頼み、兄の行方を探ろうと京之助を唆す。
 京之助はいで湯の里に赴くが、明香は昨日、根帯の里に帰っていた。
 そこで、京之助と弥十郎は根帯の里に向かうが、一方の明香は、京之助の慕うあまり、吹雪の中を一人、いで湯の里に降りようとしていた。
 そして、京之助は法性火の峰で兄の死の真相を、また、峰の秘密を知ることとなる…」

・備考
 ビニールカバー剥がし痕あり。カバー貼り付け、また、痛み。読み癖ひどくて、ボロボロ。下部の小切れをテープ補修、多々あり。pp93・94、上部のコマ内に穴の欠損あり。pp91・92、上部のコマ内に破れあり。後ろの遊び紙に書き込みと貸出票の貼り付けあり。

2018年5月21日 ページ作成・執筆

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