小島剛夕「湯島妻恋坂」(1965年頃?/200円)
収録作品
・小島剛夕「湯島妻恋坂」
「東叡山末寺の住持に仕える春之助。
彼は幼馴染のおしのと再会するが、彼女は落ちぶれ、スリの手下になっていた。
が、春之助はおしのを信じ、以降、二人は妻恋坂で逢瀬を重ねる。
一方、東叡山末寺の住持は、出世のために、春之助の父親に小判三千枚を寄進させ、黄金の水煙(塔の九輪の上部にある火炎状の装飾(「角川新国語辞典」より引用))(注1)を持つ五重塔を完成させる。
しかし、小判を鋳潰して作ったために、寺社奉行ににらまれ、住持は春之助の父親に責任を転嫁、春之助の家は欠所(財産没収)、父母は追放となる。
春之助は住持を詰問するが、おはるとの仲を知っていた住持に謹慎を申し付けられる。
その頃、おはるは病に身体を蝕まれながらも、春之助に会うため、妻恋坂に通うのだった…」
・いばら美喜「指笛」
「父の仇を討とうとする若き侍。
仇は大谷刑部(おおたにぎょうぶ)。石田三成の重臣である彼に挑むのは、まさに無謀。
そこで、彼の師は、牢に閉じ込めている若い女を利用しようとする。
この女は、指笛を鳴らすと、遠くにいても、その相手の頭を砕くことができるのだった。
女は人殺しを拒否するものの、女の弟を人質にされて、しぶしぶ従う。
侍は、鷹狩中の大谷刑部の近くに女と一緒に赴く。
襲撃は成功するが、師のもとに帰ると、そこには逃げようとして斬殺された弟の死体があった…」
佳作です。巧みなショートショートを読んだような印象です。
半世紀前に「スキャナーズ」を先取りしたかのような身体破壊が今読んでも新鮮です。(まあ、そこまで派手ではないですが…念のため。)
・小島剛夕「羅生門」
「羅生門に夜な夜な現われるという妖鬼。
源氏の大将源頼光(らいこう)下の四天王の一人、渡辺綱は、妖鬼を倒すため、単身赴く。
妖鬼を斬るものの、そこには斬り跡のついた鬼面が残されていた。
その鬼面を持ち帰った渡辺綱は急熱を出し、倒れる。
日覚上人によると、渡辺綱は妖鬼により呪いをかけられたとのこと。
呪いをとくには、七日七夜、鬼面をお札の貼った箱に厳重に封じておけばいいというので、早速実行に移す。
そして、三日目の夜、渡辺綱は夜更けに羅生門へと出向く女性に気付き、その後をつける。
その女性の正体とは? そして、渡辺綱の運命は?」
・注1
これを執筆していた時、王様のDEEP PURPLEのカバー「湖上の煙」(「王様の恩返し」収録)を思い出しました。
ただ、それだけの話なんですがね。
・備考
状態悪し。ビニールカバー貼り付け。カバー上部に小破れあり。糸綴じあり。前の見返し欠け。pp5・6(小島作品のカラーページ)落丁(Oh,my…)。pp7〜16(小島作品)にかけて下部に小切れ、小破れや小欠損(p16にはコマ内に小さな剥がれあり)。pp17・18、pp37・38、pp87・88(小島作品)折れ跡あり。p26(小島作品)の上部に印刷ミスと見られる、黒いシミあり。p108、p112、p114、p120(小島作品)、鉛筆による落書きあり。p116、p120(小島作品)ボールペン(?)による落書きあり。p126・127(小島作品)に食べ物か何かが挟まって、剥がれた跡あり。pp131・132(小島作品)に小さな穴の欠損あり。
平成27年1月1日 ページ作成・執筆