安良城考
「ギロチンの爪@」(1987年12月1日初版発行)
「ギロチンの爪A」(1988年1月1日初版・1989年12月1日3版発行)
「ギロチンの爪B」(1988年2月1日初版発行)
・「第1話 突然変異」(単行本@)
「那智圭介は私立下沢高等学校の教師。
彼は非常に気が弱く臆病で、生徒たちから散々バカにされていた。
それでも、薬剤師の母親が調合してくれる鎮静剤があれば、彼は安らぎを得ることができる。
ある日の授業、相変わらず生徒たちは好き放題。
圭介は無視しようと努めるが、突如、疼くような感じがあり、吐き気に襲われる。
見ると、彼の指の爪は鋭く尖って伸びていた…」
・「第2話 目覚めた獣性」(単行本@)
「殺人事件が発生したため、高校は休校になる。
一応、圭介が登校してみると、三年の池端澪(いけばし・みお)が来ていた。
彼女は暴力団組長の娘で、何かあると学校に様子を見に来る。
彼女の連れていた二匹の犬(ジョンとポール)は圭介を見ると、急に襲い掛かる。
澪は謝るも、その言葉は軽蔑に満ちていた。
その夜、佳介は池端の屋敷にやって来る…」
・「第3話 獲物は逃がさない」(単行本@)
「池端澪は那智圭介に目を付け、彼の秘密を暴き出そうとする。
母親の安全のため、彼を家を出て、まず、彼を監視する殺し屋を片付ける。
次に、その夜、彼はあるスナックを訪れる。
そこでは高校生たちが大麻パーティを開いており、澪も参加していた…」
・「第4話 サバンナの熱い誘い」(単行本@)
「圭介はゲーリー・ジェームズという黒人男性と共にケニアへと飛ぶ。
その目的は、圭介が十三歳になったばかりの少年の家庭教師をするためらしい。
その少年は予知能力を持つ超能力者で、圭介に親近感を感じていた。
彼は圭介たちが乗っている飛行機が突発的な事故にあうことを知っており…」
・「第5話 壁画に刻まれた悪魔」(単行本@)
「圭介たちはジャングルで朝加麻樹という写真家と出会う。
彼女は新聞社の取材で写真撮影に来ていたのであった。
彼女のランドクルーザーで圭介たちは少年のもとに向かうが、途中、圭介は川上に向かうよう言う。
川上の滝の向こうには古代の廃墟があり、そこに少年の姿があった。
ここは彼の「故郷」らしいのだが…」
・「第6話 空飛ぶスフィンクス」(単行本@)
「神殿には鋭い爪を持つ悪魔を描いた壁画があり、少年は圭介をその悪魔の生まれ変わりと呼ぶ。
しかし、言うことがあまりに突飛すぎて、にわかには信じられない。
圭介は少年と共にカイロに向かうことになるが、少年は「魔王は今夜現れる」と予言する。
その夜、彼らはスフィンクスのある場所で野宿をしていると、「魔王」が現れ、圭介に襲いかかる。
「魔王」の正体とは…?」
・「第7話 忌まわしい血脈」(単行本@)
「圭介は朝加麻樹と共に日本に帰国する。
空港から彼女のアパートへ行くが、池端澪とその子分が二人を尾行していた。
澪たちは二人を拉致し、人気のない場所に連れて行く。
澪は圭介に爪を出させるため、麻樹を子分に犯させるのだが…」
・「第8話 館の鼓動」(単行本A)
「週刊誌編集者の白石に案内され、圭介と麻樹は静宮という科学者に会いに行く。
静宮は突然変異の専門家で、圭介の父親とインターン時代に友人であった。
圭介の父は圭介が生まれてすぐ自殺していたが、彼の身に起こったこととは…?
圭介は母親に父親のことを聞くため、家に戻ると…」
・「第9話 魔族の血″の証」(単行本A)
「母親は少年にさらわれ、しかも、白石に圭介の爪のことが雑誌の記事にされてしまう。
とりあえずは母親を助けるため、彼は家の中を調べる。
すると、机の鍵のかかった引出しの中に父親の日記が隠されていた。
その日記には子供が生まれた時のことが書かれていた。
そこに池端澪が訪ねてくる。
彼女は圭介を彼女の父親が選挙演説している場所に連れて行くのだが…」
・「第10話 パニック九州」(単行本A)
「澪の父親、池端栄一は選挙演説を妨害されたことを根に持ち、ゲーリー・ジェームズを尾行させ、彼の所に殺し屋を二人送り込む。
殺し屋のうち、一人は就寝中の少年を撃ち、彼に瀕死の重傷を負わす。
一刻も早く輸血が必要だが、彼は普通の人間の血ではなく、圭介の血でなければならず…」
・「第11話 眠れる魔神」(単行本A)
「圭介の血を輸血し、少年は一命を取り留める。
だが、少年の屋敷に池端の殺し屋が仲間を連れて再び襲ってくる。
ゲーリーは少年と圭介を連れてヘリコプターで屋敷から脱出するが…」
・「第12話 失われた時間」(単行本A)
「圭介は真理子という女性の助けられるが、記憶を失う。
彼女の亭主はやくざ者で服役中のため、彼は彼女のバーでバーテンとして働くこととなる。
彼女のバーはある暴力団がレジャー施設の建設のため、立ち退きを迫っていた。
しかし、チンピラを撃退したことから、圭介の情報が澪に耳に入る。
澪は圭介の記憶喪失を知り、暴力団の組長にあるアイデアを提案する…」
・「第13話 殺しはマグナムで」(単行本A)
「真理子は誘拐され、圭介は彼女を助けに事務所にやって来る。
組長は女を解放する代わりに、対立する組のバックにいる岩井代議士の暗殺を要求。
岩井代議士はちょうどダム工事の視察に来ていた。
圭介は澪と共にダムに向かい、岩井代議士とボディガード二人だけになった時、襲うのだが…」
・「第14話 ショック療法」(単行本A)
「暗殺が失敗したため、暴力団は手入れを受けてしまい、圭介は警察に捕まってしまう。
おもしろくない組長は圭介を使ってショーを開催し、一儲けを企む。
そのショーは元・ヘビー級ボクサーとの試合であった。
圭介はこの試合に勝てば、真理子を返す約束で、リングに上がるのだが…」
・「第15話 戻った記憶」(単行本A)
「ある出来事により、圭介は記憶を取り戻す。
病院で治療を受けた後、彼は組長の別荘へ復讐に向かう…」
・「第16話 超人狩り」(単行本B)
「アメリカ国防省は世界中から超能力者を集めて交配させ、新人類を作り出す計画を進めていた。
日本では那智圭介と伍堂峻(謎の少年の本名)がターゲットにされる。
彼らを生け捕りにするため、日本にサイボーグ戦士(ビッグJとアリス)が送り込まれる…」
・「第17話 サイボーグ戦士」(単行本B)
「那智圭介、伍堂峻の二人はアメリカ合衆国の砂漠の中にある研究所へと連れて来られる。
峻は脳攪乱波でダメージを受けたために眠りにつき、圭介は地下室でビッグJとアリスにより催眠実験を受ける。
ビッグJとアリスは博士(名前なし/ESPの専門家らしい)がサイボーグ戦士よりも超能力者を高く評価していることに反感を覚え、催眠状態の圭介に彼を殺させようとするのだが…」
・「第18話 蘇生」(単行本B)
「伍堂峻は眠りから覚め、研究所を破壊する。
あの圧倒的な力を前には、戦闘機のミサイルさえもきかない。
峻の力を目の当たりにし、圭介は博士に自分をサイボーグにするよう頼む…」
・「第19話 占鏡術の一族」(単行本B)
「圭介は日本に戻り、澪と再会するも、彼女は彼が人間でないことを知って嘆く。
彼は彼女をおいて家を出て、公園で一夜を過ごすが、朝、馬に乗った老人が彼に会いに来る。
老人の名は神矢輝幸といい、伍堂峻と同じ一族のものであった。
神矢の力は割れた鏡で占いをする程度であったが、それにより政財界の黒幕と呼ばれる。
彼によると、魔族の血をひく者は能力が潜在したままの場合が多いが、峻はここ何千年もの中で群を抜いた能力を持っていた。
アメリカ国防省は峻を殺そうとしており、それを聞いた圭介が自分が峻を殺すと息巻くと、神矢はある提案をする。
それはアメリカ国防省の長官が来日する際、長官のボディガードを務めるというものであった。
峻は復讐のために現れるというのだが…」
・「第20話 可愛い殺し屋」(単行本B)
「圭介は国防省長官の京都旅行のボディガードをするが、神矢がいちいち干渉してくる。
圭介は相手にせず、久々に朝加麻樹と再会し、彼女と食事を楽しむ。
神矢は圭介を思い知らすため、麻樹を誘拐し、彼のもとには「可愛い殺し屋」を送り込む…」
・「第21話 暗影の前兆」(単行本B)
「澪は修学旅行で九州へ向かう。
楽しい修学旅行なのに、彼女の頭の中には那智圭介のことしかなかった。
夜、彼女の仲間が地元の不良娘と喧嘩をして、澪は現場に駆け付ける。
池端組の名を出すも通用せず、乱闘となり、澪は左手首をカミソリで切り裂かれるのだが…」
・「第22話 魔族相姦」(単行本B)
「池端組の組長が関西新野辺興業の鉄砲玉に瀕死の重傷を負わされる。
組長は今わの際に澪に何か告げようとするも、言わないまま、こと切れる。
葬式の日、新野辺興業の組長が神矢輝幸を伴って焼香に訪れる。
神矢は澪を見た途端、顔色を変えるのだが…。
澪の出生の秘密とは…?」
・「最終話 夢魔の果て」(単行本B)
「圭介と麻樹はSスキー場に来る。
ここでは池端澪が雪山で行方不明となり、懸命の捜索が続けられていた。
圭介たちのホテルの部屋にゲーリー・ジェームズが訪れる。
伍堂峻は神矢に池端澪に殺されるという予言を告げらた後、彼女に呼ばれ、行ってしまったという。
それを聞き、また、圭介もまた雪山に出かける。
最後の戦いの行く末とは…?」
「漫画エロトピア」に連載されたサイキック・ホラーです。
悪魔の血をひく超能力者同士のサイキック・バトル…と聞けば、無性に血がたぎってくる人も多そうですが、この作品、出来は良くないと思います。
と言うのも、ストーリー展開が行き当たりばったりだから。
唐突にストーリーが予想外の方向に何度も進んで行くので、ストーリーの焦点がぼやけて、何がどうなっているのかよくわからなくなります。
極めつけはラスト付近、急展開に次ぐ急展開で、最終章は唖然…です。
絵(特に裸の女性)の上手な漫画家さんですので、原作者が付いてれば…と思わずにいられません。
とりあえず、いつの間にかヒロインの座に居座っている池端澪はなかなか良いです。
2024年8月1・7〜9日 ページ作成・執筆