亜砂都優子・画/池田悦子・原作「妖華 ―アルラウネ―@」(1986年11月20日初版発行)

 断頭台の下で何百人もの死刑囚の血を吸って咲く花、アルラウネ。
 アルラウネが現われて五百年後、日本人の遠野華(とおの・はな)はその毒を受け継ぎ、アルラウネが復活する。
 彼女の行く所には悪徳の種が蒔かれ、悪の華が乱れ咲く…。

・「第1話 幽玄の序曲」
「遠野華はドイツにピアノ留学している日本人の娘。
 彼女は今、幸せの絶頂にあった。
 彼女はピアノ教師で新進作曲家のカール・コベールと婚約しており、彼の推薦もあって長年の夢であったピアノコンクールに出場することとなる。
 だが、実際はカールは彼女の父親が残した曲が目当てで、その曲を全部自分のものにした後、海運王の娘、レイナ・オレステに乗り換え、華を捨てる。
 華は彼に裏切られ、断頭台があった場所でペーパーナイフで首を突いて自殺。
 カールとレイナは華の自殺を知りながらも、見殺しにして、証拠を隠滅した後、その場を立ち去る。
 しかし、死んだはずの華は生きていた。
 彼女はカールの前に現れ、彼の盗作をマスコミにばらすと脅す。
 カールはだまっていてくれれば、ピアノコンクールで演奏するチャンスを与えると言うのだが…」

・「第2話 魔弓」
「遠野華はドイツから日本に帰国してすぐに深見一樹という男性に招かれ、彼の屋敷を訪れる。
 深見一樹は世界的に注目されている新進のバイオリニストであった。
 彼が彼女を招いた目的は、彼女の持っているバイオリンの弓。
 この弓でバイオリンを奏でると、今までにない美しい音色を出すという。
 だが、この弓を使ったものは皆、一世一代の名演奏をした後、怪死していた。
 一樹に乞われ、華はしぶしぶ彼にバイオリンの弓を渡す。
 彼は少し弾いてみて、その音色の美しさに驚嘆し、華に弓を売ってくれるよう頼むが、華は禍が起こると拒否。
 そこで、彼は彼女を毒殺しようとするのだが…。
 この弓の秘密とは…?」

・「第3話 人形葬送」
「ある新体操クラブ。
 内藤絹子と友田ユキはライバル同士で、クローバー杯の優勝をかけて火花を散らしていた。
 友田ユキは遠野華と組み、華が作曲した「蜘蛛の巣の狂詩曲」に斬新な技を組み合わせる。
 彼女の演技を目にして、絹子はその素晴らしさにガクゼン…。
 彼女は、ユキの優勝を阻止するため、伴走者の遠野華を妨害する。
 彼女の策は功を奏し、クローバー杯で優勝するのだが…」

・「第4話 嘆きのポプリ」
「遠野華は留学生時代の友人、西村真紀夫と再会する。
 彼は新進画家として成功し、また、滝沢エリ子という由緒ある家の娘と婚約していた。
 華はエリ子にポプリのにおい袋をプレゼントする。
 そのにおい袋は黒猫によって引き裂かれるが、後日、ポプリの香りのする手作りクッションが結婚プレゼントとして華からエリ子に届けられる。
 彼女はそのクッションにもたれ、真紀夫の絵のモデルをするのだが…」

・「カリフォルニア・ブルー」
「ルークはロサンジェルス出身のソングライターの卵。
 彼はひょんなことから歌手志望のサリアという娘と知り合い、共に行動することとなる。
 サリアはデンバー出身で、夢を叶えるため、カリフォルニアにやって来たのであった。
 二人は音楽会社に売り込むが、彼女の声は評価されても、彼の音楽はさっぱり。
 ある時、彼女に音楽番組の司会というまたとない話が来て…」

2024年8月17日 ページ作成・執筆

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